2019年版/派遣で働いてたら確定申告・年末調整はどうやる?基礎知識から解説!

2019/11/07更新
年末が近づくと耳にする「確定申告」や「年末調整」。
「なんだか難しそう…」と思いがちですが、正しい金額の税金を納めるために必要な手続きです。また、確定申告をすることで、払いすぎた税金を還付してもらえることもあります。
このコラムでは、確定申告についての基礎知識、確定申告をする人の条件、派遣社員のよくある疑問などを解説します。

1【基礎】そもそも確定申告・年末調整とは

確定申告とは

確定申告とは、1年間の所得金額と、それに対応する税額を計算して、税務署に申告する制度のことです。主に個人事業主やフリーランスなど、会社に勤めないで働いている人は、自らで所得を計算して確定申告を行なう必要があります。会社に勤めている場合は、下記の「年末調整」を行なえば、通常は確定申告の必要がありません。ただし、会社に勤めている場合でも、条件によっては確定申告をする必要があります(後述)。

年末調整とは

年末調整とは、上記の「確定申告」を会社が代理で行なってくれることを指します。会社に勤めている場合、会社がお給料をもとに税額を計算し、毎月天引きで税を徴収しています。これを「源泉徴収」といいます。ただ、この「源泉徴収」で納められている税額は、毎月の給料をもとに概算で出している金額のため、1月1日~12月31日の実際の所得を元に課税されるべき”本来の税額”と誤差が出てしまいます。そこで、正しい所得額を計算し、本来の税額を計算してもらうための手続きが年末調整です。基本的には、会社からお給料を支払われている人(派遣社員、正社員、アルバイト、パートなど)が、年末調整の対象になります。

2派遣社員は年末調整と確定申告のどちらを行なう?

1.通常は年末調整だけでOK

派遣で働く場合、派遣会社に年末調整を行なってもらえば、基本的に確定申告をする必要はありません。年末調整は勤め先(派遣先)ではなく、派遣会社が行なうため、年末調整に必要な書類は派遣会社に提出しましょう。書類の提出をする時期は派遣会社によって異なりますが、11月中旬~11月末のところが多いようです。

2.確定申告が必要な場合もある

会社勤めの場合でも、1月1日~12月31日までの収入が以下の条件に当てはまる場合は、翌年の2~3月に自分で確定申告をする必要があります。

・給与の収入金額が2,000万円を超える場合
・2ヵ所以上の会社から給与を受け取っていて、年末調整が行われない方の収入が20万円を超える場合
・配当所得や不動産所得などの副業所得が20万円を超える場合

また、以下の条件に当てはまる人は、納税額の還付を受けられる可能性が高いため、確定申告の検討をおすすめします。

・年の途中で退職し、年末調整までに再就職していない、または再就職先の年末調整に間に合わなかった場合
・医療費控除が適用される場合(医療費の合計が10万円または年収の5%以上のとき)
・寄付金控除が適用される場合(ふるさと納税などをしたとき)
・住宅ローン控除を初めて受ける場合(2年目以降は年末調整で行なう)
・生命保険料控除、出産控除などが年末調整に間に合わず、年末調整もれがあった場合
・副収入所得が20万円以下なのに、源泉徴収されている場合
・アルバイト先などで源泉徴収されているが、年末調整を受けていない場合

3こんなときどうする?派遣社員の確定申告ケーススタディ

1.副業している場合

Q. 平日はメインで派遣の事務として働きつつ、週末に派遣で副業をしています。メインの派遣会社と副業の派遣会社から年末調整の書類が届いたのですが、どちらで手続きすればいいですか?また、確定申告も必要でしょうか?

A. この場合、メインで働いている派遣会社で年末調整をします。扶養控除・保険控除の書類を提出している会社でしか年末調整は出来ないので、メインの派遣会社で年末調整を受け、副業の方には他で提出しているので提出をしないことを伝えれば大丈夫です。ただし、12月に2ヶ所以上から給与が支払われる場合、副業分については自分で確定申告をする必要があります。なお、12月の時点でお給料が支給されるところが1カ所のみであれば、12月に給与支給のある派遣会社がまとめて年末調整を行なってくれることがあります。

2.年内に複数の派遣会社で働いていた場合

Q. 1月~7月はA派遣会社、8月から今月まではB派遣会社の派遣スタッフとして働いています。B派遣会社から年末調整の用紙が届いたのですが、1月~7月までの分はどうすればいいでしょうか?

A. 12月時点で所属しているB派遣会社に、A派遣会社の分もまとめて年末調整をお願いすることができますので、A派遣会社の源泉徴収票をB派遣会社に提出しましょう。もしB派遣会社の源泉徴収票が年末調整に間に合わなかった場合は、その分の確定申告をご自身で行なう必要があります。

3.12月に会社勤めしていない場合

Q. 11月まで派遣会社で就業していましたが、年末調整せずに退職しました。この場合、年末調整はどうすればいいでしょうか?

A. 12月時点に就業していない場合、派遣会社で年末調整をしてもらうことは基本的にできませんので、ご自身で確定申告を行なう必要があります。

4.派遣の時給に交通費が含まれている場合

Q. 派遣の時給に交通費も含まれています。正社員で働いていたときは、交通費は非課税対象だったのですが、派遣でも交通費は非課税にできますか?

A. 派遣会社が交通費を差し引いた金額で収入を計上しているのであれば、交通費は非課税になっています。しかし、交通費を含んだ金額に対して課税されている場合もあります。そのときは確定申告をしたら払いすぎた税金がもどってくることがあるので、派遣会社から「通勤交通費証明書」を発行してもらい、時給に交通費が含まれているという書類を添付して確定申告を行ないましょう。確定申告がめんどうな人は、あらかじめ交通費非課税制度ありの派遣会社を選ぶことをおすすめします。

4確定申告のやり方・必要書類

「確定申告の必要がありそう」「確定申告をしたらお金がもどってきそう」という方に、確定申告の必要書類とやり方について簡単にまとめました。ぜひ参考にしてください。

確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
・源泉徴収票(複数の派遣会社で働いていた場合は全ての源泉徴収票を用意)
・生命保険などに加入している場合は「保険料控除証明書」
・控除に必要な領収書、契約書(通勤交通費証明書など)
・銀行の預金通帳、もしくはキャッシュカード、銀行の届出印

令和になってから最初の確定申告の期間は、2020年2月17日(月)から3月16日(月)です。確定申告の期間は毎年原則2月16日~3月15日となっていますが、2020年は2月16日と3月15日が共に日曜日のため翌平日である2月17日(月)から3月16日(月)となります。この期間中に、住民票がある自治体の税務署で手続きしましょう。期限ぎりぎりは非常に混雑するため、早めに行くのがおすすめです。

国税庁のホームページ内に「確定申告期に多いお問合せ事項Q&A」が設けられていますので、こちらも参考にするとよいでしょう。
※国税庁ホーム>税の情報・手続・用紙税について調べる>所得税(確定申告書等作成コーナー)>確定申告期に多いお問合せ事項Q&A

さいごに

いかがでしたか?確定申告は難しそうで面倒なものというイメージがありますが、このコラムで疑問がクリアになっていただけたら幸いです。このコラム以外にも、確定申告についてのQ&Aがありますので、気になる方は下のボタンからぜひご覧ください!

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