無期雇用派遣とは?普通の派遣や正社員との違い、メリットを解説

2023/11/15更新
「無期雇用派遣」とは期間の定めがない雇用契約を派遣会社と結ぶ制度で、2015年の労働者派遣法改正によって誕生しました。

比較的新しい働き方とあって認知度は低く、「普通の派遣と何が違うの?」「正社員とは違うの?」など、詳しいことはわからないという方が多くいらっしゃいます。本コラムでは、無期雇用派遣の基礎知識をまとめてお届けします!

無期雇用派遣とは?カンタンに言うと…
・期間の定めのない雇用契約を派遣会社と結ぶ働き方
・いわゆる正社員とは異なる
・一般的な派遣と比較したメリット・デメリット
メリット:安定して働ける、同じ就業場所で3年以上働ける
デメリット:勤務地や勤務時間・仕事内容が選びにくい

1無期雇用派遣とは?

普通の派遣との違いは?

無期雇用派遣とは、派遣会社と「期間の定めのない雇用契約を結ぶ」働き方のこと。わかりやすく一言で言うなら、「雇用が保証されている派遣」と言えます。無期雇用派遣の契約の仕方について、一般的な派遣と比較すると以下の通りです。

*一般的な派遣(=登録型派遣)の場合

期間の定めがある雇用契約を派遣会社と結び、契約期間が終了したら雇用契約も終了します。
(○○派遣会社と雇用契約を結んで、△△株式会社の事務として働いていたとします。△△株式会社で働く期間が終わったら、○○派遣会社との雇用契約もそこで終了するということです。)

一般的な派遣の仕組み

*無期雇用派遣の場合

派遣会社と期間の定めのない雇用契約を結びます。そのため、派遣先での就業期間が終わっても、派遣会社との雇用契約は継続されています。
(○○派遣会社と無期の雇用契約を結んで、△△株式会社の事務として働いていた場合、△△株式会社で働く期間が終わっても○○派遣会社との雇用契約は継続されます。)

無期雇用派遣の仕組み

正社員との違いは?

働く期間に定めがないというと「正社員ということ?」と思う人も多いのですが、無期雇用派遣はあくまでも派遣社員。いわゆる"正社員"とは異なります。

勤務先は雇用契約を結んでいる派遣会社ではなく、派遣先企業。給与形態や待遇なども派遣先企業とも、契約を結ぶ派遣会社の正社員とも別であることが多いです。

2無期雇用派遣は何のため?誕生の背景は?

派遣やパートなどの有期労働契約で働く人の中には、長期的・安定的に継続して働くことを希望する人もいます。

また、何年も有期の雇用契約を繰り返している人が一定数存在するという実態もあることから、平成25年4月に『労働契約法』が改正され、「無期労働契約への転換」など新しいルールが導入されました。

これは、有期雇用契約で働く人たちのが抱える雇止めの不安を解消し、不合理な労働条件が定められないようにするための法改正です。

いわゆる「無期転換ルール」というこのルールは、“同一の企業と5年を超えて有期労働契約が反復更新された場合、労働者は無期労働契約への転換を申し込むことができる”というもの。

このルールはもちろん派遣会社との雇用契約にも適用されるので、5年を超えて何回も同じ派遣会社と契約更新したら、無期雇用派遣への転換を申し込むことができます。

3無期雇用派遣のメリット・デメリット

メリット

*メリットは「安定」と「同じ職場で働き続けられる」こと

エン派遣が2023年8月に実施した無期雇用派遣についてのユーザーアンケートでは、「期間に終わりがなく安定して働きやすい」「3年を超えて同じ職場で同じ業務が続けられる」が魅力を感じる無期雇用派遣の特徴の第1位・第2位でした。


*メリット第1位「期間に終わりがなく安定して働きやすい」について

派遣会社と無期の雇用契約を結ぶので、有期の雇用契約を繰り返す働き方より、雇用状況は安定します。

一つの派遣先でのお仕事が終了しても、派遣会社からはすぐに次のお仕事が紹介されるので、次のお仕事が見つからない不安や、お仕事を探す手間がなくなり、収入も安定するでしょう。

仮に次の派遣先が決まるまでに少し期間が空いた場合にも、派遣会社との雇用関係は続いているので、お給料が発生しない期間はなくなります。(ただ、すぐに次のお仕事が紹介されることがほとんどなので、実際にはこうしたケースはあまりないようです。)

*メリット第2位「3年を超えて同じ職場で同じ業務が続けられる」について

一般的な派遣(登録型派遣)の場合、派遣法により同一組織で3年以上働くことができません。しかし「無期雇用派遣」の場合は例外として、同じ組織で3年以上働き続けることが可能です。

*その他、「月給制」や「賞与あり」も大きなメリット!

ご紹介した二つのメリットのほか、無期雇用派遣の場合は「賞与ありで月給制の派遣会社もある」という点も大きな魅力のひとつです。

一般的な派遣(登録型派遣)は賞与が出ることが稀で、お給料は時給制であることがほとんどです。時給制の場合、年末年始などの長期休暇や祝日が多くある月では月収が低くなってしまうというデメリットがあります。

これに対し無期雇用派遣では、毎月決まった額の給料が受け取れる月給制、かつ賞与の支給があることが多いです。(派遣会社によりますので、絶対ではありません)。
※無期雇用派遣の場合の給与や待遇は、派遣会社によって異なりますので、自分の派遣会社の規定を確認しましょう。

デメリット

*自分の希望に合う仕事に就きにくい

期雇用派遣についてのユーザーアンケート結果では、「時短勤務などは働き方の自由度が低い」「職場が変わる可能性がある」「職場・仕事内容を選びにくい」が無期雇用派遣におけるデメリットのトップ3となりました。


無期雇用派遣は、派遣会社に常に雇用されている状態です。その雇用契約によって給与額や待遇などの条件が決まっているので、自ずと勤務地や仕事内容などは選びにくくなります。また、派遣先と派遣会社での契約が終了となれば、勤務先が変わることもあります。

一般的な派遣(登録型派遣)では、自分に合った勤務地や仕事内容・時間などが選べることがメリットとされているので、この点を重視する人にとってはデメリットが大きいかもしれません。

4無期雇用派遣で働くための2つの方法

無期雇用派遣になるためには、以下2つの方法があります。
1.無期雇用派遣の求人に応募する
2.5年を超えて反復更新している派遣会社に無期転換を申し込む

無期雇用派遣への転換を申し込むには、以下の条件を満たしている必要があります。
(1)有期労働契約の通算期間が5年を超えている
(2)契約の更新回数が1回以上である
(3)現時点で同一の使用者との間で契約している
※平成25年4月以降に締結(または更新)した有期労働契約から、(1)(2)の対象になります。

ただ、5年を超えて何回も契約更新をしていたら、絶対に無期雇用派遣にならなければいけないということではありません。5年を超えてからも同じ派遣会社とそれまで通りの有期雇用契約を続けることも可能です。

また、派遣会社は無期雇用派遣への転換の申し込みを断ることは原則できません。年齢を理由に無期雇用派遣への転換を拒否することは禁止されています。
※有期雇用特例措置法により「定年に達した後引き続き雇用される有期雇用労働者の特例の手続き」の申請を都道府県労働局長に認定を受けた会社は、特例として、定年後5年を超えて働いた有期派遣社員の無期雇用派遣を断ることができます。

5実際に無期雇用派遣で働いた方の声

●「私は同じ派遣で7年間務めましたが、派遣先を変える際も派遣元が探してくれたり交渉してくれたりととても楽でした。待機期間も収入はありますし、派遣先で3年以上働けたのでありがたかったです。」(20代/東京都)

●「人間関係が構築でき、業務の習熟度があがる」(40代/東京都)

●「主に給与面でよかったと思います。年度査定なので育休中でも賞与が出たのは大変助かりました。育休後に派遣先が変わりましたが、次の派遣先が決まるまでの間も給与が発生したのもありがたかったです。」(30代/神奈川県)

●「自分から退職を願い出ない限り、同じ職場で働き続けられる点はメリットと感じました。しかし待遇改善はなく、この点は不満でした。」(40代/神奈川県)

さいごに

いかがでしたでしょうか?この記事で、みなさんの無期雇用派遣についての理解が深まれば幸いです。

希望条件に合った仕事につくこと以上に安定して働くことを重視した仕事をお探しの方にとっては、無期雇用派遣は魅力のある働き方です。興味を持たれた方はぜひチャレンジしてみてください!

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