派遣のお仕事クローズアップ
人気の職種を徹底解剖!先輩スタッフさんや派遣会社の担当者に独自インタビューするコーナーです。

通訳のオシゴト

「通訳がいるのを忘れてしまったよ」、これが最高のホメ言葉です。女性
職種名
通訳
仕事内容
会議やワークショップ、研修などの社内通訳
プロフィール
お仕事経験
英会話講師、英文事務、アシスタント、翻訳、通訳
資格・特技
英検1級、TOEIC980点
現在の派遣先
外資系損害保険会社
派遣会社
株式会社アイ・エス・エス
収入
週5日勤務、月45万円程度
現在、担当している仕事内容を詳しく教えてください。
損害保険会社の保険金支払い部門の社内通訳を担当しています。主な業務は、外国人役員や米国本社からのビジターと日本人社員間の社内会議、ワークショップ、研修、支店や取引先の訪問時の同時・逐次通訳です。小声で訳出しをするウィスパリングを行う時もありますね。会議に参加する際は、1人で2時間くらい通訳をするのでとても集中しなければなりません。その他に、資料の翻訳や外部通訳などの手配を請け負う時もあります。

私は、保険業界で働くのは今回が初めてだったので、3~6ヶ月くらいは業界知識を勉強しては周りの人に聞いて、インターネットで調べる…という毎日でした。最近では、知識が増え、社内用語なども交えた形で通訳ができるまでになりました。
このお仕事を選ばれた理由を教えてください。
より専門性の高いキャリアを伸ばせる仕事をと考え、ステップアップしてたどり着いたのが通訳というお仕事でした。もともと、英語とは関係のない美術大学を卒業し、その後1年間イギリスに留学したことが英語との出会い。以前から英語が大好きだったという訳ではありませんでした。帰国後、英語を使えるということで英会話講師をしていましたが、専門性を磨いていきたいと考え、派遣社員として英文事務の仕事を始めると同時に、通訳学校に通い始めたのがきっかけです。

これまでに、英会話講師、官公庁やメーカーでの英文・翻訳事務、コンサルティング会社のアシスタント、出版社での社内通訳・翻訳などのお仕事をしてきました。まったく英語とは縁がなかった私ですが、1度やり始めたら突き詰めていきたい性格だからか、もっと自分のレベルを上げたいという想いでスキルアップをしてきました。
通訳のお仕事のやりがいは、どんなところですか?
通訳が求められるのは、会社の中でも重要な場。それだけに、飛び交う情報は重要事項ばかりですし、一緒に働く方々も重役の方ばかり。そのような会議の参加者が積極的に議論をかわしたり、冗談混じりに盛り上がったり、お互いに理解を深めたりといった場に、深く関わって貢献できることがやりがいですね。

また、保険や金融の知識だけではなく、自動車保険であれば自動車の構造やその修理方法、火災保険では建築、医療保険では病気やけがの治療といった医療、法人向けの賠償責任保険では化学プラントや発電所、訴訟や法律、システム導入にはITなど、幅広い分野の知識や専門用語が必要とされることです。自分の専門性が高まっていくことを実感できるのも、より高いレベルを目指すモチベーションにつながっています。

時々、「通訳がいるのを忘れてしまったよ」とか、「直接話しているように自然なコミュニケーションが取れた」と会議の参加者の方から言って頂けるのはとても嬉しいですね。

一方、大変なところは、体調管理が必須であること。ワークショップや出張で終日の会議が連日続いたり、一日に連続で何件も会議が入ったりすることが多いので、長時間集中力を保つ体力が必要とされます。通訳が体調を崩したり、無理をして声が出なくなってしまうと、会議自体ができなくなってしまうので、体調管理には特に気をつけています。特に会議は、前回の話を受けて次の話題が展開されることも多く、代役がきかないというのは少し大変なところでもあります。
このお仕事に役立ったこれまでの経験やスキル、資格はありますか?
英検1級やTOEICなどの資格はもちろん、お仕事に就く際のスキルレベルとして評価してもらえるので役にたっていると思います。ただ、何より現場で役に立っているのは、通訳学校での訓練。トレーニングを受けたことで、英語と日本語両方の理解力、運用力、幅広い分野の知識が得られたことが、役立っていますね。

個人的な感覚ですが、私は英語よりも日本語を英語に訳す方が難易度が高いと思っています。主語が省略されることがあり、それを補いながら英語で相手に伝える必要があるので。そういった日本語の理解力が求められるので、より実践的なスキルを得られる通訳学校で学んだ経験が活きています。だから、今でも仕事をしながら通訳学校に通っているのです。
このお仕事を通じて、新たに身に付いたスキルがあったら教えてください。
状況や雰囲気に応じて適切な表現やトーンで訳す事が求められるので、その場の空気を読む判断力が身に付きました。通訳を通して発言を聞いている人の反応や表情から、十分に伝わって理解してもらえてるかを判断し、必要に応じて訳し方を変えたりします。同じ内容を伝えるにしても、社内で通じる言葉、外部でも通じる言葉などを話す相手によって選んで訳しています。
このお仕事を目指す人にひとことをお願いします!
語学を使う仕事として、派遣社員で英文事務、秘書、翻訳、通訳と専門性を高めて行く事ができます。外資系の会社にはバイリンガルのスタッフが多くいますので、社内通訳には、特に高い英語、日本語の運用力、専門知識が求められますが、その分多くを学べる、やりがいのある仕事だと思います。通訳として活躍していくのに一番求められるのは、継続力。続ければ続けるほど、レベルが上がっていくお仕事なので、自分はどうなりたいのか、どこを目指すのかを見失わずに、頑張ってほしいと思います。
派遣会社に聞いた!通訳
通訳で多いお仕事の内容について教えてください。
通訳の仕事で多い内容を「フォーマリティ」と「専門性」という2面性から説明いたします。
まずは、フォーマリティーが高い通訳ですが、企業のトップレベルの方に付く、または対応する通訳が多いです。新聞などでも良く見かけますが、例えば、日本企業が、新たに海外から外国人の社長や会長を迎えるというケースです。経営の根幹を司る人が社運を左右する重要な会議やビジネスシーンでの通訳です。
次に、専門性の高い通訳とは、ビジネスの最先端での通訳です。金融、IT、メディカルなど、様々な業界の最先端の現場やプロジェクトでの通訳です。これには、専門分野の知識とその分野での豊富な通訳経験が必要とされます。
通訳のお仕事の傾向について教えてください。
長年に渡りクライアント企業からは、引き続き、コンスタントに通訳の需要があります。ここ数ヶ月は、経済環境の好転に伴なって、積極的なビジネス展開が戻ってきています。新しい商品の投入やサービスの展開、また、それに伴うIT投資など、今までターゲットにしてきた金融、IT、メディカル、メーカーでの通訳需要が継続・拡大しています。例えば、経営の刷新をにらんで、外国人社長を迎えた企業や、グループ企業の再編プロジェクトでの通訳対応などもありました。
最近の新しい動きとしては、日系企業の海外展開に伴う通訳ポジションが、さらに増加しています。国内で培ったビジネスのノウハウやサービスを新たに海外へ展開していく動きが加速しています。これは、商品・製品の販売だけではなく、人材サービスや金融サービスなども当てはまります。今は、どこの企業にも、ある程度の英語力の社員はいますが、本格的な海外ビジネス展開では、やはりプロの通訳者が必要となってきます。
また、2020年の東京オリンピックに向けて、確実に英語が必要な求人や通訳需要が増えていくと思います。すでに「本格的に、英語のスキルを身につけたい」「通訳を仕事で経験していきたい」という登録者の声もあります。派遣スタッフの中にも、2020年を目標に、キャリアづくりを意識している人が増えています。
未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
通訳を目指す人も、最初は、コミュニケーションのツールとして、英語を使う仕事から始まるのが一般的です。さらに、アシスタント、アドミニストレーター、秘書などの職種で、英語を使う機会が増えてくると、通訳も経験できる機会が出てきます。通訳を少しでも経験出来れば、次は、さらに通訳割合が多い仕事へ移りやすくなります。
通訳の仕事に就くために必要なのは、3つの要素。通訳力、業界経験(から培った専門知識)、そして通訳経験です。通訳未経験の方は、この3つ目が欠けていることになります。その場合は、最初の2つを高めていくことで、通訳の仕事への可能性が広がります。実は、現場が必要としているレベルに達していない人が、通訳現場に入ってしまっているというケースがあるのも事実。この3項目がバランス良く整っているのが理想ですが、通訳力と専門知識の高さが、可能性を広げてくれます。
通訳力を証明するのは、一般的には、通訳スクールでの継続的な訓練です。また、背景知識は、その業界での業務経験又は、系統だった知識を証明する専門資格ということになります。
どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
時給アップは、基本的には、その企業での就業期間中の通訳パフォーマンスに対する評価で判断されます。社内で発生するさまざまな通訳シーンで、どれだけ、周りの方達に納得できるパフォーマンスを提供できたかにかかっています。それが評価につながるのです。
ですから、「資格」=「時給アップ」ではありません。ただ、高いパフォーマンスの通訳者は、常に学ぶことに貪欲です。より高いレベルの語学資格の取得や、専門知識の理解度を示す資格の取得には余念がありません。
また、通訳の形式として、簡易通訳機材が使えるとか、同時通訳ブースでのマナーを心得ているなどは、活躍の場が広がるので、通訳者としてプラスの評価になります。
このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
「プロ意識の高い人」「チームワーク力がある人」「学び続ける人」ですね。プロ意識の高い人というのは、ビジネスの様々なシーンで、常に、質の高い通訳を提供できる人。常に結果を重視し、通訳を必要とする人たちに100%の満足度を提供できる人。通訳者は、文化的・言語的背景の異なる人たちの中に入り、コミュニケーションのプロの役割に徹している人です。その為に、プロの通訳者は、常に通訳力を磨き、知識の強化に努めています。
そして、「チームワーク力がある人」。通訳が必要な場面には、目的や立場、思惑が異なる人たちが関わっているケースがよくあります。その人たちが質の高いコミュニケーションを図る上で、通訳者が重要な役割を担っています。派遣の場合は、比較的長期的に組織の一員として、ビジネス展開の様々な場面で通訳をすることになります。派遣先では、チームの一員として、一体感をもって通訳業務を遂行していく事が必要です。
最後に「学び続ける人」。通訳が必要とされるビジネスが進行していくのと併行し、通訳者は、より効果的なコミュニケーションのあるべき姿を達成していく姿勢が大切です。アイデアが提案されたり、新メンバーが加わったり、新しい概念や言葉・表現が生まれる。変化し続けるビジネスシーンに対応するには、通訳者自身も学び続ける人である必要があります。表面的な理解だけでは、本当の通訳はできません。
通訳に“完璧”は存在しません。常に完璧に近づけようとする通訳者の姿勢が、企業活動の中でのコミュニケーションを高めます。また、そのような姿勢を通じて通訳者が信頼を獲得できるのです。
この記事が役に立ったらシェアしよう!
会員登録がまだの方
会員登録をすると、プレゼントがもらえるキャンペーンへの参加や質問の投稿など、より便利にサイトを使うことができます。