派遣のお仕事クローズアップ
人気の職種を徹底解剖!先輩スタッフさんや派遣会社の担当者に独自インタビューするコーナーです。

通訳のオシゴト

通訳者は黒子役。言葉の壁がない会話が飛び交うと嬉しくなります。女性 / 41歳
職種名
通訳
仕事内容
外資系大手医療機器会社の社長付き通訳
プロフィール
年齢
41歳
お仕事経験
通訳10年(IT業界8年、医療業界2年)
資格・特技
通訳スクール同時通訳科終了
現在の派遣先
外資系大手医療機器会社
派遣会社
日本コンベンションサービス株式会社
現在、担当している仕事内容を詳しく教えてください。
担当している仕事は、社長付き通訳です。定例の社内会議や顧客訪問、プレスインタビュー、社内研修、セミナー、学会、会食などに同行し、通訳をしております。その他、新聞記事や社内アンケート結果、会議資料などの翻訳も行なっています。社長付きですので社長のスケジュールによって業務が変動するため、残業は場合によっては発生することもあります。
このお仕事を選ばれた理由を教えてください。
英文科を卒業している母の影響でもともと英語が好きだったため、漠然と将来は通訳者になりたいと思っていました。私も大学では英文科に入学しましたが、高校時代からネイティブの英語の授業を受けているようなクラスメイト達に圧倒され、一時は通訳者の道をあきらめました。

大学を卒業してからは英語のスキルを活かせるロイタージャパンで3年ほど営業事務をしておりました。イギリス本社からの来客時に英語を使ったり、レターを翻訳したり。ただ、将来的に結婚や出産後に働くとなると制約のある時間内で、自分で時間の使い方を設計していけるような専門スキルを身につけたいと考えるようになりました。そこで一旦はあきらめかけた通訳者の道を再び目指すべく、イギリスのバーミンガム大学院に留学し、言語学の修士を取得したのです。

日本に帰国後、1年ほど翻訳ソフトの開発企業にて辞書の対訳や言葉づかいのチェックをする仕事をしていましたが、その後は正社員の社内通訳としてIT企業を2社経験し、6年間通訳の仕事に従事しました。そして自分の幅を広げるために、フリーランスの通訳にも挑戦。けれども出産などライフステージの変化や医療もしくは金融業界にチャレンジしてみたいという想いがあり、派遣社員としていまの仕事に就くことを決めました。
通訳のお仕事のやりがいは、どんなところですか?
社長はアメリカ人ですが、まるで通訳者がいないかのように日本語の会話に参加している姿を目にした時に、役に立っていることを実感します。私自身が黒子のような存在になり、コミュニケーションにタイムラグがないよう要点を押さえて伝えるようにしています。社外の色々な方にお会いする際にも同行しますが、相手の方から「ありがとう」とおっしゃっていただけることが一番やりがいを感じる瞬間です。

また、専門知識を深めていけることもやりがいの一つです。通訳をするのはビジネス上でとても重要な場。専門的なことを理解しておかなければついていくことができません。社内の方々から教わったり、ネットで調べたり、新聞で目にしたことだったり、そういうものがどんどん蓄積されていくことが楽しいですね。私にとっては医療分野が初めてでしたので、日々勉強です。会社には複数の事業部があり、各々が異なる分野の製品を扱っています。社長付き通訳なので、社長という立場上すべての分野に関わります。ですから事前準備は必須。しかも常駐の通訳者は私1人なので日によってはミーティングがいくつも重なることがあります。そういう時は大変ですね。 通訳をしていて思うのは、ムダになる知識は何ひとつないということ。新聞記事から海外で人気のアニメキャラクターのことまで、いつどこで出てくるか分かりません。どんなことも興味を持ち、そしてインプットするようにしています。
このお仕事に役立ったこれまでの経験やスキル、資格はありますか?
過去にIT業界で通訳をしていたので分野は異なりますが、社内通訳の経験が長いということがとても役に立っています。ビジネス会議やレセプション、同時通訳ブースに入るような大きな会議など、それぞれの場面にあわせた通訳の仕方は用語などが違っても共通しているものです。たとえば、ビジネス会議であれば事務的に通訳をしますが、カクテルを片手に会話を楽しむレセプションであればもっとカジュアルに通訳をします。

初めて現場で通訳した時のことはいまでも鮮明に覚えています。とにかく緊張していて、「一言一句逃してはならない」という気持ちで必死でした。いまでは余裕を持つことができ、その場その場に応じたトーンで通訳しています。経験を積むことで、場の雰囲気にあった通訳ができるようになり、対応できる幅が広がったと思います。
このお仕事を通じて、新たに身に付いたスキルがあったら教えてください。
思い切りの良さと集中力が身につきました。通訳をしている時に言葉が出てこなくてためらっていては全体の流れを止めてしまうので、持っている知識の中からベストをつくす技術が身につきました。少しでも戸惑ったところがあれば、後からきちんと調べて次は質を上げるように心がけています。集中力はもともとあるほうですが、仕事の最中に余計なことが頭をよぎっては思考が途切れてしまいます。経験を積むことで集中力も高まります。
このお仕事を目指す人にひとことお願いします!
時々、「人の話していることを訳していると、自分の意見を言いたくなりませんか?」と質問されます。言われて気付いたのですが、私は通訳者として会話に参加していて「それは違う!私はこう思う!」と思うことがないようです。通訳者は黒子に徹することが大切だと思います。逆に言えば、自分の意見を主張したい人には向かないかもしれません。

通訳として働くには社内通訳かフリーランスのどちらかになるかと思います。社内通訳であれば訳すワードがフリーランスに比べれば限定されるので、まずは社内通訳で経験を積み、その後フリーランスを目指す方が多いですね。

社内通訳は、帰属意識を持ちたかったリ、様々な事情で時間の制約があったりする場合にはよいかと思います。ただ、社内通訳を続けることの懸念となるのは、同じことの繰り返しであるため、中には自分のスキルが伸びなくなってしまうと考える方もいらっしゃいます。フリーランスの通訳は、様々なクライアントや分野と関わることができるので自分のパフォーマンスを高め、成長する手段としては良いのではないでしょうか。

今の私の仕事は社内通訳ですが、同じことの繰り返しでスキルが伸びないと感じることはありません。医療分野は社内の方々の知識が膨大ですし、日々新聞で特集が組まれるような注目の分野です。また、知らなければ訳すことができない=専門性が高いという魅力もあります。社内通訳として全く新しい業界にチャレンジしてみることも成長につながると思います。
派遣会社に聞いた!通訳
通訳で多いお仕事の内容について教えてください。
通訳の形式としましては、大きく逐次通訳・同時通訳・ウィスパリング通訳の3つに分かれています。逐次通訳とは、話を区切りながら通訳していく形式。話が完了してから通訳をするので訳の正確さが求められます。同時通訳とは、話を聞くのとほぼ同時に訳していく形式になります。大きな会議などの場合には、会場に設置されたブースに入り、通訳者の音声がマイクを通して聴衆のイヤフォンに届くようになっています。通常は複数名で交替しながら行なうことが一般的です。そしてウィスパリング通訳。通訳を必要とする人間の近くにいて聞き手にささやく程度の声で話と同時に訳していく形式です。自分の声やその他の音が耳に入るので難易度が高くなります。企業の会議などではウィスパリング通訳をすることが多いです。
たとえば、テレビなどで来日した方のそばで通訳している方や企業の重要ミッションを担う人につく通訳は、通訳学校でのトレーニングに加え、実際の通訳現場で多くの経験を積んだ方がほとんどです。その他、特定の人につくのではなく、その企業のあらゆる部署の通訳ニーズに応えるポジション、「プール制通訳」などと呼ばれます。こちらも、様々な分野の知識が必要になるため、レベルは高めです。技術者につく場合はかなり専門的な知識を求められるケースもあります。
逆に、アテンド通訳というポジションであれば、展示会場での案内や受付、送迎サービスといったお客さまの会話や行動をサポートする仕事なので、難易度は低めです。帰国子女の方や大学などで英語を専攻してきたような英語を難なく理解できる方であれば、挑戦しやすいかと思います。余談ですがアテンド通訳は、通訳というよりは「英文事務」や「英語を使える接客」として募集がかかることも多いです。
通訳のお仕事の傾向について教えてください。
通訳全体の件数は、増えてはいない状況かと思います。通訳を必要とする大半の企業は外資系になるのですが、景気の影響等から外国人スタッフの来日が減る傾向にあり、そのため通訳を必要とするシーンが減っています。
とはいえ、医薬系とIT系業界の仕事は減り方が少ないかと思います。実際、通訳のお仕事の約6~7割がこれらの業界だと思います。メーカーやエンターテイメント系企業での通訳というポジションもあることにはありますが、割合は前者に比べて少なめです。医薬系とIT系業界での通訳の仕事が減っていない理由としては、外資系企業の割合が多いということと、日進月歩で技術が進むため、常に海外にある本社と日本との間でのやりとりが生まれるのです。ですから、医薬系とIT系業界での勤務経験をお持ちの方は、チャンスと言えるかもしれません。
また、最近では市場の変化によりインドなまりの英語や中国なまりの英語というようなノンネイティブの英語に慣れている方、というニーズも出てきました。
未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
未経験の方は、アテンド通訳や英文事務の一部に通訳業務があるような仕事であれば就業のチャンスがあります。たとえば、英語が飛び交う社内での勤務やビジターのアテンド業務、展示会・イベントでの通訳といった仕事。まずは基本的な経験を積み、さらに通訳学校へ通うなどしてスキルを洗練させ、ウィスパリング通訳や同時通訳をするお仕事にレベルアップするということになるかと思います。
どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
逐次通訳よりはウィスパリング・同時通訳が対応できると時給は高めになる傾向があります。時給とは直接関係ないかもしれませんが、英語が話せる事と、通訳が出来る事は同じではないので注意が必要です。たとえば帰国子女の方であっても我流ではなく通訳学校のトレーニングを受けている方は、やはり職場での評価も高いかと思います。また、過去に専門的な業界の知識や就業経験をお持ちの方(たとえば研究所や技術開発の現場)は、高めの時給でスタートすることが可能なケースもあります。通訳の仕事は、専門的な分野にまで踏み込むことが多いので、そもそもの仕組みなどを理解していないと伝えることも難しいもの。ですから、派遣先企業と同業界での経験はプラスになります。
このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
通訳という仕事は、サービス業です。ハイレベルな語学力を持つ専門職でありながら、通訳というサービスを提供するスタンスは必要です。語学スキルを高めたいという動機だけでは、難しい仕事なのではないかと思います。例えばビジネスシーンでの通訳であれば、付く方のビジネスの成功のお手伝い、とも言えるのではないでしょうか。聞く相手のために訳す、というスタンスが必要になります。プロフェッショナルな意識を持ちつつ、裏方に徹すること。そして通訳技術そのものの向上に加えて専門用語の勉強など、つねに勉強が必要な職種でもあるので、それを続けられる資質も必要かもしれません。
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