- 治験関連に多いお仕事の内容について教えてください。
- 人を対象に薬の効き目や副作用について調べることを臨床試験といいます。そして、厚生労働省から医薬品として認可してもらうために行なう臨床試験の事を「治験」と呼んでいます。それにまつわるお仕事として、専門性の高い臨床開発モニター(CRA)や治験コーディネーター(CRC)、データマネジメント(DM)、薬事申請、安全性業務(ファーマコヴィジランス)、市販後調査(PMS)、品質管理(QC)といった業務と、主業務のサポートもしくは付随的な業務としてモニターサポート他、前記の関連業務があります。具体的には書類作成・点検、翻訳、データ入力、ファイリングなどです。
臨床開発モニター(CRA)は治験実施医療機関内で行なわれる治験が様々な法律やルールを守って実施されていることを確認するのが仕事です。依頼者である製薬企業とドクターをはじめとする医療機関のスタッフを結ぶ橋渡し役となり、ドクターが作成する症例報告書(CRF)を回収します。モニターアシスタントは、書類作成や入力・書類チェックをすることで彼らをサポートしています。治験コーディネーター(CRC)は、治験担当ドクターの指示のもとで治験関連業務をサポートします。主に治験に協力してくださる患者さんに対するインフォームド・コンセントの取得補助や、その後のケア、治験実施施設におけるスケジュール管理などの業務を行ないます。
データマネジメント業務は、モニターがドクターから入手した臨床試験の症例報告書に記載された内容を、コンピュータを利用してデータベース化する仕事です。サポート業務としては、症例報告書データの入力業務や点検といった仕事となります。クオリティ・コントロール業務は、治験に関わる様々な文書を点検し、不備や矛盾がないかをチェック・点検する品質管理業務です。 - 治験関連のお仕事の傾向について教えてください。
- 最近の傾向としては、安全性情報関連の案件が増えています。製薬メーカーは、治験や市販後の医薬品において重い副作用が出た場合、国に報告することが義務付けられています。その際に、医薬品に関する情報管理の強化・充実が求められているため、お仕事が増えているのです。
安全性情報管理の仕事は、薬の副作用情報を専用データベースに入力し、評価を行ない、国へ報告するというのが一連の流れになります。外国での症例であれば翻訳が必要です。そのため、英語力を活かして未経験から翻訳業務に挑戦する方もいらっしゃいます。他にはデータ入力などの経験を活かして副作用情報の入力や書類チェック業務に、業界未経験からチャレンジする方も多いようです。
また、治験や市販後の症例報告書は、今まで紙が主流でしたがここ数年の間に電子化が進みました。医師や治験コーディネーターが紙に記入するのではなく、直接EDC(Electronic Data Capture)というシステムに入力するようになっています。このような新しいシステムを扱う経験を積めば、その後のキャリアの幅が広がるでしょう。 - 未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
- 治験関連のお仕事は、緻密な作業が多く業界特有の言葉が多いので、業界経験者であればお仕事が決まる確率が高くなりますが、モニターアシスタントや各種サポート業務であれば、業界未経験からチャレンジできます。まずは、入力や書類チェック業務の経験を積むと良いでしょう。正確なデータ入力スキルや、高い英語力(TOEIC800以上)かつ医薬翻訳学校で学んだ経験があれば、安全性情報関連業務にチャレンジすることも可能です。細かい作業が得意で意欲的に新しいことに取り組める方には、チャンスが多くあります。
業界経験者、特に医療系資格(看護師、薬剤師、臨床検査技師など)をお持ちであればキャリアチェンジが可能です。医療事務の経験者であれば治験関連サポート業務のほうが給与がアップしますし、看護師は夜勤がないため体力的に楽で長く続けられるという方もいらっしゃいます。 - どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
- 看護師免許をはじめ薬剤師免許、臨床検査技師免許、MR認定資格といった免許・資格、もしくは医薬業界での経験があれば時給アップにつながります。これらの免許・資格や経験をお持ちであれば歓迎されますし、ブランクのある方でもスムーズにお仕事に就くことができます。
- このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
- 大前提として医薬業界に興味がある方。ただ単に事務的にこなすというのではなく、専門性が高いだけに勉強する必要があるため、仕事への興味が欠かせません。さらに、人の命や健康に関わる重要なデータを扱うため、緻密かつ正確に仕事ができる方が求められます。どの業務においても人命や医療、法令に対する高い意識と倫理観が問われています。