- 編集・校正・制作に多いお仕事の内容について教えてください。
- 編集業務で多いのは原稿整理や校正、校閲の業務ですね。制作では文字や色の指定、色の校正、レイアウト、版下制作といった業務になります。校正は編集と制作の両者に必ず含まれる業務といえます。著者や印刷所など外部との折衝を含む進行管理という重要な業務もあります。その他、コピーやファイリング、原稿の受け渡し、連絡業務、原稿用紙・写真の整理等の多岐にわたる付随業務が存在します。未経験者や経験の浅い方は進行管理の補助や付随業務から手がけることになるケースが多いと思います。
- 編集・校正・制作のお仕事の傾向について教えてください。
- 紙の出版物は刊行点数やページ数が減少傾向にあります。紙からWebへの移行という大きな流れはもちろんですが、不況の影響で広告費の削減がかなり図られているため、市場は縮小していると言えます。ただ、医学・医薬などの業界は安定しているので、その分野であれば仕事の件数は横ばいという状況です。
また、現在、出版業界は電子出版時代という100年に一度の変革期を迎えています。業界が紙媒体のハイコストやハイリスクから開放される反面、編集・制作の現場ではスピードアップが要求されることは確実です。これにより編集や制作の仕事内容が拡大することは避けられないでしょう。具体的には、編集者は編集だけでなくWebのコーディングや音声の録音、写真・ビデオの撮影編集など、さまざまなスキルが求められるようになる可能性があります。さらに、他のメディアとの連携や営業、宣伝など様々な要素を考慮した上での制作スキルが必要になるかもしれません。編集プロダクションの中には、電子出版部門を一部署として独立させるような動きも始まっています。 - 未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
- 編集・校正・制作のお仕事は経験者が優遇される傾向にありますが、未経験であってもお仕事にエントリーをする段階からアピールすれば考慮されることも大いにあります。たとえば、文章を書くことが好きであることや精通している分野があることなどを前面に出してアピールすると良いでしょう。まさに広告のように自分を積極的に売り込んでほしいですね。
基本的な編集・制作のスキルを専門学校等で身につけてからチャレンジする方法はもちろん有効だといえます。特に校正技能は「級」等でランク付けされているため、一定のスキルを満たしている証になります。編集補助業務では編集に付随する事務的な業務が中心ですから、事務処理能力があれば通用するでしょう。制作では個人的な制作物でも、派遣先の業界・分野・テイストにマッチングすれば武器となります。
また、電子化により、編集・制作の業務内容が拡大していく中で、従来の編集業務の経験がなくても、今まで関係あるとは全く思われていなかった経験が意外と評価される可能性が広がるでしょう。 - どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
- 何よりも時給アップにつながるのは、実務経験を積むこと。編集・校正・制作のお仕事は、キャリアを積み上げていくもの。ですからまずは経験を積むことを重視すると良いのではないでしょうか。
そして、DTPソフトのスキル・キャリアです。編集の仕事では、InDesignやIllustrator、Photoshopの基本操作。制作の仕事では、そのスピードとクオリティが求められます。
医療系の出版物を手がける場合は、英語力があると時給アップにつながる可能性があります。英検なら準1級、TOEICなら800点以上であれば業務の経験分野を問わずに評価されるでしょう。 - このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
- 大きく分けて3つあります。1つ目は、高いコミュニケーション能力。編集・制作という仕事は、取材などでは会話から情報を引き出す必要がありますし、様々な情報を分かりやすく読者に伝えなければなりません。また、編集は共同作業ですから一緒にプロジェクトを進めるメンバーとのコミュニケーションも不可欠です。
そして2つ目は、好奇心旺盛であることですね。読者が何を求めているかを理解し、関心を持てなければ務まりません。派遣先の企業では、派遣スタッフから読者としての意見を聞くことができると大変嬉しいようです。日ごろから色々なことに関心を持っている方、つまり情報のアンテナが高い方のほうが良いですね。
3つ目は、強い責任感があるということ。編集・制作においては正確な内容のものをスケジュール通りに完成させることが要求されます。さらに、どんな些細なことにも手を抜かず、できるだけ最良のものを作るという責任感が求められます。特に校正は間違を正すという役割なので責任感がないと務まらない仕事です。
また、今後の業界の展開を考えると、新しい時代に対応できる柔軟な発想力と情熱、行動力が必ず求められるのではないでしょうか。