派遣スタッフ満足度の高い派遣会社が行っている取り組みとは?
【2021年度「総合満足度」第1位パーソルテンプスタッフ編】

2022/05/18 UPDATE

当研究所で調査・発表した『派遣スタッフが選ぶ!派遣会社満足度ランキング2021』において、第1位に選ばれた派遣会社が「具体的にどのような取り組みをされているのか」を2回にわたって紹介しています。

今回は「総合満足度」第1位に選ばれた、パーソルテンプスタッフ キャリア推進本部 安藤本部長に、お話をお伺いしました。

「知る」をテーマに、
派遣スタッフの声に向き合った1年間

―― 3年連続「総合満足度」1位受賞となりました。
派遣スタッフの方々から評価ポイントに挙がっていたのが「担当者が親身になってくれるから」など、今回も『担当者の対応』に関する項目が上位に。中には「派遣先決定後も正直に相談ができています」といったコメントもありました。高評価を得られた要因を教えてください。

世の中が目まぐるしく変わるなか、派遣スタッフの方々の働き方の違い、多様性が特に表立ってきた年でもありました。不安もさまざま。それらの「声」一つひとつに耳を傾け、不安を取り除き、頼りにされる存在でありたい。そのために一丸となって向き合った結果だと思います。

なかでも、2021年度のテーマに掲げたのが「知る」ということでした。働き方のニーズが多様になるなか、そもそも「知る」が足りていないのではないか。私たちも変わらなければならないと考えました。

たとえば、登録に必要な就業条件などの情報だけでなく、一歩先の会話をし、志向性、価値観、人となりまで知るよう努めていきました。会話が増え、求職者の方から「もっとこんな働き方をしたい」「こういう会社で働きたい」といった希望をいただきやすくなりました。

派遣先の企業に関しても、担当コーディネーターが企業の理念やビジョン、社風などをキャッチアップしています。その上で「この方なら、あの派遣先が合いそうだ」とご紹介していく。仕事をしていく上ではフィーリングも大切。いわゆるマッチングから「フィッティング」を大切にしてきた1年でした。世の中、デジタルツールによる「効率化」の流れがありますが、こういった気持ちのこもった対応も評価いただいた要因かと思います。


2021年度は「アンケート」を毎月実施
派遣スタッフの「声」から生まれたサービス改善

―― 実際、派遣スタッフの方々の「声」を拾うために取り組まれたことはありますか?

先ほどのヒアリングに加え、派遣スタッフの方々へアンケートを毎月取らせていただきました。これまで就業後の方に実施していましたが、仕事紹介から決定に至るプロセスでは初の試み。アンケートで頂いた「声」は担当者をはじめ、営業部門全体にもシェアし、派遣スタッフに寄り添うことを第一にしてきました。

正直、うれしいお言葉も、厳しいお言葉も、さまざま頂きました。それらを現場にフィードバックしていくのですが、やはり「生の声」なので速やかに改善が進みました。

じつは先ほどの人となりまで会話をしていくといった取り組みも、派遣スタッフの声から生まれたものです。今までは希望条件によるマッチングが主流でしたが、

「私はこういう会社で働きたい」
「長く勤めるためにフィーリングを大事にしたい」
「働く場所がどんなところなのかもう少し知りたい」
などの声に、お答えできていないケースがあることに気づき、派遣先企業ごとの風土やカルチャーも意識するようになりました。

2020年7月にリリースした「テンプアプリ(※1)」も利用者が増えており、そこからも「知る」につながっています。

仕事探しや各種申請・事務手続きが便利であることはもちろん、「SKD」という機能を設けています。「SKD」は「最近どうですか(SaiKin Doudesuka)?」が名称の由来で、営業担当などに電話するほどでもないお困りごとや就業状況などが派遣スタッフの方から当社に簡単にスタンプで伝えられるもの。改良を重ねており、気軽にコンタクトが取れるようになっています。

(※1)テンプアプリ
テンプスタッフではたらく派遣スタッフ向け公式スマホアプリです。アプリからもジョブチェキで求人検索ができたり、勤怠締日や給与支給日などのお知らせ機能、就業中の方は有給休暇の申請や契約内容の確認機能、担当者に連絡を取りたいときにアプリからメッセージを送るなどのコミュニーション機能があります。



今日は出社勤務なのか、在宅勤務なのか。いつ連絡がつきやすいのか。またコロナ禍では、派遣スタッフとリアルでお会いできる機会が少なくなった部分もあります。そのような中でも「SKD」を使えば、小さな心境の変化をキャッチしやすく、コンディションの波もわかるようになっています。

もう一点、eラーニングの拡充もこの1年で進んだ部分です。その時々に応じ、どのような研修が必要とされているのか。派遣スタッフの方々の「声」を反映し、ニーズにあった研修コンテンツを増やすことができました。

また、スキルアップ支援の一つとして、自宅に研修環境が整っていない方に対し、パソコンの貸し出し等を行っています。こういった一つひとつの積み重ねもサービス改善につながっている部分だと思います。


「はたらく」を通して、人生を豊かに

―― さらなる満足度向上のために、今後力を入れていこうとされていることがあれば教えてください。

私たちは「はたらく」を通じて人生を豊かにしていきたい、そういった世界観を持っています。その世界観をより広げていければと考えています。

もちろん「経済的な豊かさ」も一つですし、安心感、安定・成長など「心の豊かさ」を満たしていくお手伝いをすることが当社全体の取り組みとつながっています。

たとえば、仕事も、私生活も、安心できるようなお手伝いをしたくて、デジタルバンクでお金を管理できる「みんなの銀行(※2)」との連携もその一つ。働いている時だけでなく、私生活も含めて充実できるようにサポートし、はたらく人の不安を取り除き、寄り添っていければと考えています。

(※2)みんなの銀行
スマートフォン専用アプリで完結する国内初のデジタルバンクです。 パーソルテンプスタッフでは、“派遣スタッフを支えたいという思い”から、2021年10月2日(テンプの日)に、みんなの銀行『テンプスタッフ支店』を開設し、派遣スタッフのニーズに幅広く対応できるサービス提供を開始しています。
https://www.tempstaff.co.jp/corporate/release/2021/20210929_5251.html/



―― 派遣業界全体における課題、解決に向けて取り組んでいくことがあれば教えてください。

人生100年時代と言われたり、今回のコロナ禍があったり、「働く」を取り巻く社会環境は日々変化しています。さらに少子高齢化に伴う構造的な労働力の不足はさらに顕著になっていくでしょう。

こういった時代背景のなか、働く場所、時間、在宅勤務など、多様な個人のニーズに対し、世の中がまだ追いついていないと捉えています。人材を活用する企業側に提案することで、より多くの就業機会、選択肢を作っていきたいと考えています。そのためにもご紹介できる求人件数の確保、派遣スタッフの処遇向上にしっかりと取り組んでいきたいと思います。


―― 最後に、派遣スタッフの方へメッセージをお願いします。

当社では派遣スタッフ一人ひとりが自分らしいはたらき方の実現をできるよう、全力で支援したいと考えています。就業機会の提供だけではなく、スキルアップ、キャリアアップなど含めて「はたらく」を通じて皆さまの「豊かさ」を向上させていきたい。そのお手伝いをさせていただきます。

派遣スタッフの皆さまの声をもとに実現したサービスが当社には多くあります。私たちに求めていることを聞かせていただければ、それらを実現できるように努力し続けます。ぜひ当社を頼っていただき、声をかけていただければと思います。



Profile
安藤達也(あんどう・たつや)氏
パーソルテンプスタッフ株式会社 キャリア推進本部 本部長

2005年11月テンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)入社。求職者向け派遣サービスを展開するオフィスの責任者を務め、2020年8月より現職。“はたらくを通じて人生豊かに“をモットーに日々、求職者の就業支援に取り組む。






執筆:白石勝也
編集:派遣の働き方研究所 研究員 鈴木志保