派遣スタッフ満足度の高い派遣会社が行っている 取り組みとは?
【2020年度「継続就業意向度」第1位リクルートスタッフィング編】

2021/12/14 UPDATE

当研究所で調査・発表した『派遣スタッフが選ぶ!派遣会社満足度ランキング2020』において、第1位に選ばれた派遣会社が「具体的にどのような取り組みをされているのか」を2回にわたって紹介しています。

今回は「継続就業意向度」第1位に選ばれたリクルートスタッフィング執行役員・三ツ井氏に、お話をお伺いしました。

時代の変化に合わせたサポート体制
オンラインで完結できるしくみづくりも推進

―― 「継続就業意向度」1位に選ばれた評価ポイントとしては、「自分に合った派遣先が多そうだから」が最も高く、単に紹介される求人の量が多いということだけではなく、“自分に合った”仕事の紹介が多いという点を評価されている方が多いです。その要因として考えられることを教えてください。

営業側とコーポレート側の取り組みについて、それぞれお話させていただければと思います。
A.(営業)就業ふりかえり面談やテレワークなど多様な働き方推進のための働きかけ
B.(コーポレート)「時間をつくるという働き方」オンライン施策の強化

A.(営業)就業ふりかえり面談やテレワークなど多様な働き方推進のための働きかけ
派遣スタッフの方一人ひとりに合ったお仕事を紹介するうえでは、弊社にご依頼いただく求人件数の量も大切になります。

多くの求人をご依頼いただける背景には、弊社で就業いただいている派遣スタッフの方々のパフォーマンスが高く、派遣先企業様にご評価いただいていることがあります。その結果、弊社に対して多くの求人を依頼いただき、希望に合うお仕事をご紹介できることにつながっていると思っております。

そして、日々就業いただいている派遣スタッフの方々が活躍できるように、しっかりとサポートしていくことが弊社としては重要だと思っております。

なかでも弊社は、派遣スタッフの方々と日々向き合うことができる、営業担当者のコミュニケーションをとても大切にしております。就業中の派遣スタッフの方々にとって最も身近な存在で、重要なサポーターである営業担当者の対応が、ご評価いただけているのでしたら大変嬉しく思います。

営業担当者のコミュニケーションを向上させる取り組みとしては、数年前から実施している「就業ふりかえり面談」というものがあります。

そして、2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、働き方が大きく変化しました。

不本意な形ながら企業のテレワークが急速に広がるなかで、弊社においても派遣スタッフのテレワーク推進に力を入れてきました。2019年からテレワークの推進をしていますが、感染拡大前の2020年1月はわずか1%だったのに対し、2020年5月には約半数の派遣スタッフがテレワークに移行し、現在でも50%以上がテレワークをしております。

テレワークを導入することに不安や抵抗がある企業に対しては、成功事例やノウハウを発信するなど営業担当者が丁寧にサポートをしていくことで、テレワークが可能な案件数も増え続けており、コロナ直後(2020年4月)と比較すると、直近(2021年2月)では約29倍になりました。

このように多様な働き方の後押しも含め、一人ひとりに合ったお仕事を見つけられるように取り組んできました。

テレワークという柔軟な働き方がここまで浸透した背景としては、我々の働きかけだけではなく、派遣スタッフの皆さまが派遣先で活躍してくれていることと、派遣先の皆さまが働き方を柔軟に対応してくださることが非常に大きいと感じます。

B.(コーポレート)「時間をつくるという働き方」オンライン施策の強化
「時間をつくるという働き方」というメッセージのもと、時代の変化に合わせ、派遣登録からお仕事探し、就業、研修受講、就業中のサポートといったあらゆるステップにおいて、オンラインで完結できる仕組みづくりを推進してきたことです。

昨今のコロナ禍においても新しい働き方が求められる中、時代にあった仕組みを活用することで、自分の時間を大切にしながらご自身の希望に合うお仕事探しや就業が実現できるよう、サービスを提供しています。


―― オンライン施策としては、具体的にはどのようなことを実施されたのでしょうか。

具体的に進めてきた施策としましては、まず2021年9月からスタートした「オンラインコンシェルジュサービス」があります。

これは、お仕事探しにあたって不安なこと、知りたいことなどを、コンシェルジュと1対1の音声電話もしくはビデオ通話で、気軽に相談できるサービスです。

登録情報や希望条件入力などを幅広くサポートすることで、より希望にあったお仕事を見つけていただくことが狙いです。リリースしてまだ1年未満ではありますが、利用者満足度90%以上と、大変ご好評いただいています。

また、派遣スタッフの専用ページ「MyPage(マイページ)」の利便性向上のために、希望条件に合わせた案件紹介のレコメンド機能や、3か月先に開始予定の仕事特集を組み、早めに仕事紹介をすることで派遣スタッフの方に早く自分に合うお仕事を見つけてもらいやすくしました。

さらに、一人ひとりにマッチした求人案件を見つけられるよう、MyPage上の検索項目数を増やすという工夫をしています 。例えば、コロナ禍に伴いテレワークが広がりましたが、テレワーク可能なお仕事も、週1~2回など頻度別で検索することを可能にしています。

加えて、エントリーいただいたお仕事の選考プロセスについても、オンラインで完結できるよう機能を拡充したことで、余計な手間や時間を必要とせずにお仕事探しができます。

サービスの原点は、派遣で働く方一人ひとりの声

―― オンライン施策の強化など新たな取り組みを検討・実施される中で、大切にされていることをぜひ教えてください。

最も大切にしているのは、派遣で働く方の声です。
当社サービスに関する改善施策や新しい取り組みの検討は常に複数並行して進めているのですが、派遣で働く方一人ひとりの声に丁寧に耳を傾け、改善や取り入れることができないかを検討し、できるだけ反映するように努めています。そのために、アンケートツールなども積極的に活用しています。

また、仕事探しや就業中の“働きやすさ”だけではなく、給与関連や年末調整など諸手続きも含めてトータル的に派遣スタッフの方が求めているサービス、サポート体制をつくれるように取り組んでいます。


―― 最後に、派遣スタッフの皆さんへメッセージをお願いします。

当社としては、派遣先の方にもご協力いただきながら、派遣で働く方の環境があらゆる雇用形態の中でも一番働きやすいと思ってもらえるようにしていきたいという想いがあります。

中でも「頑張ってスキルアップしていきたい」と思っている方や「派遣先に貢献したい」と思って取り組んでいる方が、それを実現された際に、きちんと待遇にも反映できるような仕組みにしていくことは、業界全体として進めていかなければいけないことだと考えています。

そのために、当社が一歩でも二歩でもリードして改善に取り組み、派遣で働く皆さまが安定・安心して働いていただける環境をつくっていきたいと思っていますので、ぜひ忌憚のないご意見をいただけたらと思います。一緒に派遣という働き方をよりよくしていきましょう。





Profile
三ツ井 健(みつい・けん)氏
株式会社リクルートスタッフィング 執行役員
事業企画統括部 統括部長 兼 営業推進統括部 統括部長
2002年にスタッフサービス入社後、営業部長、新規事業の立ち上げなどを経験。
2016年よりリクルートスタッフィングに入社し、営業組織のユニット長、事業推進部で全社戦略に携わった後、2019年より現職。





執筆・編集:派遣の働き方研究所 研究員 鈴木志保