新型コロナウィルス感染など病気やケガで求職活動できなくなった場合、失業手当の給付はどうなる?

2020/08/18 UPDATE

新型コロナウィルス感染拡大に伴い、派遣で働く方々も日常生活や就業環境に変化を余儀なくされている現状だと思います。その変化の中でみなさんがお感じになる不安や疑問について、Q&A形式でお伝えしていきます。

新型コロナウィルス感染など病気やケガで求職活動できなくなった場合、失業手当の給付はどうなる?

Q.コロナ禍の影響で派遣契約が終了になり、失業手当を受給しながら求職活動をしていましたが、先日病気にかかってしまいました。病気によって求職活動を中断せざるを得ない場合、失業手当の給付はどうなるのでしょうか?

A.雇用保険の基本手当(失業手当)を受給中に、新型コロナウィルス感染やその他病気やケガで求職活動ができず仕事に就けない状態が長引くと、雇用保険の基本手当が支給されないことがあります。ただし、その場合は雇用保険の傷病手当や基本手当の受給期間を延長することができます。

以下に病気やケガによって仕事に就けない期間ごとの取扱いをまとめましたので、参考にしてください。

  • 15日未満の場合→そのまま基本手当の受給
    病気やケガで仕事に就けない期間が15日未満であれば、証明書の提出により失業の認定を受けることができ、そのまま基本手当を受給することができます。

  • 15日以上30日未満の場合→傷病手当の受給
    15日以上になると、雇用保険法における「失業」(※)にはあてはまらず、基本手当をもらうことはできません。この場合、代わりに「傷病手当」を受給することができます。

    傷病手当について
    支給額は、基本手当と同額になります。
    基本手当の代わりに傷病手当が支給されることになるため、傷病手当の支給日数分は基本手当の支給予定日数から差し引かれます。

    なお、基本手当にある7日間の待期期間中や、退職の理由が自己都合であることによる3ヶ月間の給付制限中は、基本手当同様に傷病手当は支給されません。

    (※)雇用保険法における「失業」とは
    被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう(第4条)。したがって、長期間病気やケガの状態にあるのは「働く能力がある」とはいえないため、「失業」にあてはまらないということになります。

  • 30日以上の場合→傷病手当を受給、または基本手当の受給期間の延長
    この場合は、傷病手当を受給することもできますが、基本手当の受給期間を延長するという選択をすることもできます。

    基本手当は、原則として離職日の翌日から1年以内に所定給付日数を上限に受給することが定められています。しかし、病気やケガで仕事に就けない期間が30日以上ある場合は、プラスして最長3年間の受給期間の延長が認められます。

    つまり、受給期間が離職日の翌日から最長4年間に延長されることになりますが、所定給付日数が増えるわけではありませんので、ご注意ください。


    参考:
    厚生労働省HP「雇用保険制度」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/index_00003.html
    厚生労働省HP「離職されたみなさまへ」
    https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000951119.pdf
    厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症に伴う雇用保険求職者給付の特例」は終了しています
    https://jsite.mhlw.go.jp/fukui-roudoukyoku/content/contents/001429918.pdf



    執筆・編集:派遣の働き方研究所 研究員 鈴木志保