派遣の3年ルールとは?派遣スタッフが知っておくべきポイント

2018/06/25更新
派遣には3年ルールというものがあるのをご存知ですか?
派遣で働いている方・これから派遣で働こうと考えている方は、知っておきたい大切なルールです。
派遣法の改正によってすこし複雑になった点もありますので、よくある実例も交えながら、わかりやすく解説していきます。

1「派遣の3年ルール」を解説

1-1.「派遣の3年ルール」には2種類ある

「派遣の3年ルール」には、(1)派遣労働者個人単位の期間制限(派遣スタッフ個人に紐づく期間制限)と、(2)派遣先事業所単位の期間制限(派遣先の組織に紐づく期間制限)の2種類があります。

|(1) 派遣労働者個人単位の期間制限

派遣スタッフは、派遣先の事業所における同一の組織に、3年以上勤めることができません。
そのため、同じ組織で3年を働くと「個人単位の抵触日(※)」を迎えてしまいます。ただ、異なる派遣先企業に移れば派遣社員として働き続けられますし、派遣先が同じ会社でも部署を移れば3年経ってからも働くことが可能です。

|(2) 派遣先事業所単位の期間制限

派遣先の同一の事業所は、3年を超えて派遣スタッフを受け入れることは原則できません。
たとえば、違う派遣スタッフが1年半前から働いている職場で働き始めた場合、1年半後が「事業所単位の抵触日(※)」となります。そのため、派遣先によっては3年より短い期間で辞めなければいけない場合があり得ます。
ただ、「派遣先事業所単位の期間制限」は、派遣先の過半数労働組合が許可した場合のみ延長することが可能です。

※抵触日とは?
抵触日とは、派遣として働くことができる期間を過ぎた最初の日のことです。 つまり抵触日が11月1日なら、派遣スタッフとして働けるのは10月31日までということになります。

1-2.派遣法の改正で、3年ルールが適用される範囲が拡大

2015年9月30日に派遣法が改正され、派遣の3年ルールの適用範囲がすべての業務に広がりました。
改正以前は、ソフトウェア開発や通訳などの「26業務(※)」が3年ルールの対象外とされていましたが、この例外がなくなっています。
なお、改正以前から「26業務」で働いていた場合は、改正法が施行された2015年9月30日以後に締結された契約から、3年ルールのカウントが始まります。

※「26業務」とは
ソフトウェア開発、機械設計、秘書、通訳・翻訳、放送番組などにおける大道具・小道具など、専門的知識や技術を必要とする業務のこと。

23年経ったらどうなる?3年ルールに例外はある?

2-1.抵触日を迎えたらどうすればよい?

抵触日を迎えたときにとれる選択肢は以下の2つです。

・派遣先企業の同じ部署で同じ業務を続けることはできなくなるため、派遣会社から別の派遣先のお仕事を紹介される。

・派遣先企業が抵触日以降も働いてほしいという場合、派遣先企業で直接雇用される。ただ、この選択肢は、派遣先企業と派遣スタッフ間での同意が必要なため、3年経ったら必ず直雇用されるというわけではありません。

2-2.派遣の3年ルールの例外ケース

労働者派遣法の改正により、すべての業務において期間制限が設けられるようになったとお伝えしましたが、以下の場合は例外的に期間制限が適用されません。

・派遣元に無期雇用されている場合
・60歳以上である場合
・終期が明確な有期プロジェクトに派遣される場合
・日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が、派遣先の通常の労働者の半分以下かつ10日以下)の場合
・産休、育休、介護休業などを取得する人の代わりに派遣される場合

2-3.同じ派遣先で働くための方法

どうしても同じ派遣先企業で働き続けたいという場合は、部署を異動すれば大丈夫です。 労働者派遣法では、「派遣先の事業所における同一の組織単位で、3年以上働くことができない」と定めているので、部署を異動して同じ派遣先で働くことは問題ありません。 ちなみに、組織単位というのはいわゆる「課」や「グループ」のことであり、同一の組織かどうかは実態に即して判断されます。

3こんなときはどうなる?よくある実例ケーススタディ

3-1.抵触日を知りたい場合

Q. 2016年4月1日から派遣社員として勤めている会社には、最長いつまで働き続けることができるのでしょうか?

A. 「事業所単位の抵触日」を考えない場合、抵触日は3年1日後になるため、2019年4月1日が抵触日になります。つまり、最長でも2019年3月31日まで働くことができます。

3-2.3年以上同じ派遣先で働いている場合

Q. 2013年12月から今の会社で派遣として働いています。先日、派遣元の営業さんから2018年10月で抵触日になると言われました。今の会社に勤めて5年ほど経ちますが、なぜこのタイミングで抵触日を告げられたのでしょうか?

A. 労働者派遣法改正前の「26業務」で働いていたことが理由として考えられます。「26業務」で働いていた場合、改正法施行日の2015年9月30日に結んだ契約からから3年ルールのカウントが始まるので、その3年後の2018年10月に抵触日を迎えたのだと思われます。

3-3.抵触日を迎えるのが3年より短い場合

Q. 平成27年10月10日に●●社に派遣されました。派遣元から送付された就業条件明示書の抵触日を確認したところ、平成30年4月1日と記載されています。 私が働く部署に自分1人しかいないのであれば、抵触日が平成30年10月10日になると思うのですが、なぜそれより短いのでしょう?

A. 「個人単位の抵触日」は平成30年5月10日ですが、「事業所単位の抵触日」が平成30年4月1日であることが理由に考えられます。 同一事業所が3年以上派遣スタッフを受入れることは原則NGなので、前任の方が平成27年4月1日から働いていた場合はその方と合わせて3年後が抵触日になります。

3-4.派遣元が替わって同じ派遣先で働いている場合

Q. 派遣先はそのままで、先月、派遣先の都合で派遣元が替わりました。派遣元に関係なくここの派遣先で働き始めて2年半にありますが、私の抵触日はあと半年後なのでしょうか?それとも派遣先が替わったタイミングでリセットされているのでしょうか?

A. 派遣元が替わっても、同一組織で働いている場合は3年のカウントが継続されます。 そのため、同じ派遣先で2年半働いているということであれば、抵触日はあと半年後になります。

3-5.昔働いていた派遣先にもう一度派遣される場合

Q. この度、派遣元からの紹介で、✕✕会社営業グループに派遣されることになりました。ただ、4年前に同じ職場で働いていたことがあり、その時は抵触日を迎えたため退職する運びとなりました。偶然とはいえ、同じ派遣先にまた勤めることは問題ないのでしょうか?

A. この場合、問題はありません。
「個人単位の期間制限」と「事業所単位の期間制限」の両方とも、3ヶ月と1日の間(=クーリング期間)を置いたら、期間制限のカウントがリセットされます。 そのため、4年前に働いていた職場でまた働くことになっても問題はありません。 ただ、クーリング期間後に再度同一の組織単位に派遣をすることは、派遣スタッフのキャリアアップの観点から望ましくないとされています。

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