派遣から直接雇用になるときのメリット・デメリット・注意点

2018/11/26更新
派遣社員として働いていると、派遣先企業に「派遣から直接雇用に切り替えないか」と打診されることがあります。エン派遣が実施したアンケート(※1)によると、約4割の方が「派遣先から直接雇用の申し込みをされたことがある」と回答しており、特段めずらしいことではないようです。
※1:「派遣先からの直接雇用の申し込み」についてのアンケート集計結果

ここでは、派遣から直接雇用に切り替えることを検討する際に、知っておきたいメリット・デメリット・注意点についてまとめていきます。

1「派遣から直接雇用」のアンケート結果

まずは、エン派遣が2012年に実施した「派遣先からの直接雇用の申し込み」についてのアンケートをもとに、派遣から直接雇用に切り替えることの実態を見てみましょう。

派遣で働いた経験がある人のうち、派遣先から「直接雇用に切り替えないか」と申込みをされたことがある人は39%。さらに内訳を見ると、申込みをされた人のうちの約4割(回答者全体の16%)はその申込みを承諾し、残りの約6割(回答者全体の23%)の人は承諾をしたことがないそうです。
つまり、派遣で働いていると、約4割の人は派遣から直接雇用に切り替わることを打診されることがあり、しかしそれを承諾する人はそのうちの4割(回答者全体の16%)ということです。

では、打診されたことがある人は、どんな情報を確認してこのような決断を下したのでしょうか。
「申し込まれたことがある」と回答された方に、気になったこと・派遣先に確認したことを聞くと(複数回答可)、以下のグラフのような結果に。

申し込まれたことがある方は、「給与」「就業条件」「仕事内容」「勤務時間」「雇用形態」などを派遣先に確認したようです。「申し込まれたら受ける」と思っていても、本当に申し込まれたら上記のような内容を確認し、慎重に判断をして断るという結論を出されるようです。

また、「今後仮に派遣から直接雇用になることを打診されたときにどうするか」という質問に対しては、
◎雇用形態に関わらず受ける:11%
○正社員なら受ける:27%
△派遣先による:35%
×断る:7%
という結果になりました。

派遣から直接雇用に切り替えることによって、当然ながらメリット・デメリットが発生します。派遣から直接雇用に切り替えることを打診された人は、メリット・デメリットと自分が優先したいこととを照らし合わせて、切り替えているか否かを決めているようです。次のセクションでは、派遣から直接雇用に切り替えることのメリット・デメリットについてまとめます。

2派遣から直接雇用に切り替えることのメリット・デメリット

派遣から直接雇用に切り替えるメリット

1.安定して働ける

派遣から直接雇用に切り替えることで、安定して働けるようになる場合があります。さきほど紹介したエン派遣のアンケートでも、「もし打診されたら直接雇用に切り替える」と回答した人のうち90%が、「安定して働けるようになる」ことを切り替えの理由に挙げています。

ただ、直接雇用と言っても「正社員」として雇われるとは限りません。派遣先企業と直接的に雇用契約を結ぶことを「直接雇用」というので、契約社員やアルバイトも該当します。正社員として雇用される場合は、期限の定めがない雇用契約を結ぶため、雇用が安定していると言えますが、一方契約社員・アルバイトは、期間の定めがある雇用契約(=有期労働契約)であるため、「ずっと同じ会社で働ける」という意味では安定して働けるとは言い切れません。
ただ、給与や更新頻度という意味では、契約社員は派遣より安定していると言えます。派遣社員は契約更新のタイミングが1~3ヶ月毎なのに対して、契約社員は半年~1年毎だったり、派遣は時給制である場合が多いのに対して、契約社員は月給制である(=勤務日数が少ない月でも同じ収入を得られる)ことが多いためです。

雇用形態を切り替える際は、「正社員なのか?契約社員なのか?」「どんな就業条件なのか?」によって、安定して働けるかどうかの度合いが異なります。

2.待遇が良くなることがある

派遣から直接雇用になると、ボーナスや交通費が支給されるようになる可能性が高まります。ただ、これも必ず約束されることではなく、雇用形態や、派遣先の制度によって変わりますので、切り替える前に確認したほうが良い項目です。

3.より責任のある仕事に携われる

派遣から直接雇用に切り替えると、より責任のある仕事に携われるようになる可能性が高まります。「派遣社員だから」という理由で業務に一線を引かれることを寂しく感じるような人は、この点を魅力に感じるようです。決まった仕事内容だけを派遣スタッフにお願いすることを、派遣先企業は派遣会社と約束しているため、契約以外の業務を任せられないという状況があります。一方契約社員の場合、「事務職」「営業職」などの広いくくりでさまざまな仕事を任されることが多いため、派遣よりも広い仕事に携われるチャンスがあるのです。

派遣から直接雇用に切り替えるデメリット

1.自分の生活に合わせた働き方をしにくくなる

派遣で働く場合、勤務時間・場所、仕事内容、働く期間などのさまざまな条件を指定して、仕事の紹介を受けることができます。「残業一切なしで働きたい」「決まった仕事だけに集中したい」「転勤を避けたい」「週3日16時まで働きたい」など、自分のライフスタイルにあう契約を結べる可能性が高いです。しかし直接雇用になると、指定できる条件は派遣より厳しくなってしまうことが多いです。

2.辞めにくい・いろいろな職場を経験できない

派遣から直接雇用になることで雇用が安定するのはひとつのメリットですが、裏を返すと、辞めにくくなったり、色々な職場を経験する機会が少なくなります。派遣の働き方は安定性にすこし不安がありますが、辞めようと決意したときは、契約更新しないことを派遣会社に伝えればOKなので、比較的仕事を辞めやすいです。そのため、さまざまな職場を経験したかったり、ライフスタイルの変化が多い人にはメリットになります。この派遣ならではのメリットが失われることは、直接雇用に切り替える際のデメリットと言えます。

3.待遇が悪くなることがある

切替え時の契約によりますが、派遣から直接雇用になって待遇が悪くなることもあります。交通費が出る代わりに時給が下がったり、派遣会社の福利厚生のほうが充実している場合もあるのです。契約する際は、切り替え後の待遇を確認することが大切になります。

3派遣から直接雇用になるときの注意点

ここまで、派遣から直接雇用になることについての実態アンケート、メリット・デメリットについて解説しました。では、もし派遣から直接雇用になることを提案された場合、どんな点に注意すればいいのでしょうか。

雇用形態・給与・仕事内容などの条件を確認!

このコラム内で解説してきたように、派遣から直接雇用になっても、正社員になって安定的に働けたり、収入が上がるとは限りません。また、派遣ならではのメリットは失われてしまいます。直接雇用を検討する際は契約内容を妥協なくしっかり確認することが肝要です。

派遣会社に話すべきか

派遣先から直接雇用の誘いを受けていることを、派遣会社に相談してもしなくても、どちらでも問題ありません。
派遣会社からすると、直接雇用の誘いを受けるような優秀なスタッフが派遣就業をやめてしまうのは損ですが、だからといって派遣会社が切り替えを妨害することは、禁止されています(労働者派遣法第33条では、「派遣期間終了後に派遣先と派遣労働者が雇用契約を締結することを、派遣元が禁止してはならない」と定めています)。

派遣会社に相談するとあまりいい顔はされないかもしれませんが、お世話になった気持ちをきちんと伝えて関係性を悪くせずに直接雇用に切り替えられるでしょう。また、派遣会社の社員が派遣先企業の情報などを教えてくれて、意志判断のアドバイスをしてくれることもあります。

しかし、派遣先企業(直接雇用になろうとしている企業)は、契約終了後に直接雇用に切り替えることを、あなたから派遣会社に伝えてほしくない場合があります。なぜなら、派遣スタッフを引き抜かれてしまうのは、法律上禁止されていないとはいえ、派遣会社からするといい気分ではないからです。派遣先企業から「派遣会社には内緒で」と言われることは実際にあり、派遣会社を通さないことは法律上問題はありませんが、後ろめたいことを強要するような会社を信用していいのかは、疑問が残ります。

あなた自身・派遣会社・派遣先企業の信頼関係によって、どうするべきかの判断は変わります。

さいごに

いかがでしたでしょうか?派遣から直接雇用になる際は、それぞれのメリット・デメリットを確認し、ご自身が仕事において重視するものと照らし合わせて判断する必要があります。ご自身が譲れない条件は妥協することなく、よい働き方を実現してください!

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