- 翻訳で多いお仕事の内容について教えてください。
- 特に根強い需要があるのは、金融・IT分野、その他メディカル分野も増えています。金融では、保険や銀行、監査法人などが多く、たとえば会計監査や財務の報告書、契約書、レポートなどの翻訳が多くあります。ITでは、自社製品を持つIT企業からの依頼と、さまざまなクライアントとの長短期プロジェクトを持つITサービス企業があり、要件定義書、仕様書、詳細設計書、マニュアル、プレゼンテーション資料などの翻訳が多いです。また、メディカルでは、症例・治験などがあり、海外本社向け文書なども翻訳しています。
その他、自動車メーカー、法律事務所、一般消費財、流通、食品などもあります。ゲームやソーシャルネットワーク分野の企業から、最近、仕事の依頼が続いています。日本で作られたゲームを海外向けにしたり、逆に海外のゲームなど日本向けにしたりとローカライズの仕事も増えています。また、言語についてはやはり英語が一番多いですが、アジア圏も増えてきていて、たとえば最近では中国語や韓国語、タイ語の翻訳の仕事もありました。 - 翻訳のお仕事の傾向について教えてください。
- 翻訳の需要は年々高まっています。幅広い業種から社内翻訳や翻訳が含まれる業務の依頼がありますが、最近特に、活発なビジネス展開で知られるインド系ITサービス会社から、さまざまな事業会社とのプロジェクトに対応いただける翻訳者の依頼が増加しています。
そこでは、もちろんIT分野での翻訳力が問われますが、さらに、プロジェクトの相手企業が、自動車メーカーや家電であったり、メディカルであったりすると、IT翻訳力に加えて、クライアント先が扱っている製品やサービスに関する知識や翻訳経験があると有利になります。 - 未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
- 翻訳経験がない人は、まず英文事務や部内アシスタント、秘書など、業務の一部分で簡単な翻訳が含まれる仕事を選び、経験を積んでいくと良いと思います。翻訳の実務経験や翻訳学校などを通して実力が伴ってくると、さらにステップアップし、翻訳量が多い仕事にチャレンジすることができます。英語の読み書きが多い仕事や翻訳チェッカーなどは、翻訳の仕事につながる経験になりますので、お薦めです。
また、特定の業界の就業経験で得られる専門知識は、翻訳に繋がる要素となりえます。例えば、システムエンジニアからIT翻訳者へ、また、金融業界での就業経験から金融翻訳者へといった事例もあります。翻訳の仕事は語学力がもちろん必須ですが、背景となる業界・専門知識を持っている方はより精度の高い訳文を作ることができると思います。 - どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
- 翻訳の難易度によって、おおよその時間給が決まっています。そのため、経験が増え、さらに翻訳力が上がってくると、難易度が高く時間給の高い仕事に移るのが一般的です。また、就業中に貢献度が認められて、時給がアップしたり、社員への登用となるケースもあります。
仕事に応募するタイミングで、語学の資格が必須です。最近ではTOEIC900点以上を取得している人も多く、また、英検一級も取得していると職務経歴書としては、説得力が出てきます。
また、翻訳のトレーニングを受けていると、自己流ではなく、翻訳の基本がきちんと出来ていると捉えられます。最近では、翻訳支援ツールTrados使用経験を問われる仕事も増えています。金融分野ではUSCPA(米国公認会計士)やBATIC(国際会計検定)を取得している方、IT分野であれば、システム関連の資格を取得している人もいます。
翻訳力に加えて、英会話でのコミュニケーション力があり、さらに、通訳もある程度対応できる方もいらっしゃいます。上司や一緒に働く方が外国の方の場合、周りの人と英語でコミュニケートしなければなりません。このような力をお持ちであれば、翻訳者の付加価値になります。 - このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
- プロ意識を持って翻訳に取り組むことは大前提。求められる人材は、次の3つを満たしている方です。1つ目は、品質とスピードの両方を兼ね備えている方。2つ目は、チームワークを発揮して業務を進めていける方。社内翻訳者は、色々な人たちとの関わりの中で、翻訳業務を進めていきます。その中で、コミュニケーション力が問われます。そして3つ目は、様々なニーズに対応できる柔軟性です。ルーティンの翻訳もあれば、突発的に発生するケースもあります。概略だけわかれば良いという翻訳もあれば、社運を左右するような重要な局面での翻訳もあります。読み手が誰かによって訳すマナーも変わってきます。原文を深く理解し、文化の置き換えを図った上で正確に伝えなければなりません。さまざまなリクエストに柔軟に応えていくことも、社内翻訳者として大切です。