派遣のお仕事クローズアップ
人気の職種を徹底解剖!先輩スタッフさんや派遣会社の担当者に独自インタビューするコーナーです。

翻訳のオシゴト

言語のボーダーを越え、“読み手に伝わる言葉”を紡ぐお仕事。女性/35歳
職種名
翻訳
仕事内容
品質監査の国際基準作成プロジェクトにおける翻訳業務
プロフィール
お仕事経験
旅行会社での法人出張手配業務、投資家向け情報誌作成企業IR部門での翻訳チェック、IT関連企業の翻訳
資格・特技
通訳案内士、英検1級
現在の派遣先
IT関連の独立行政法人
派遣会社
株式会社アイ・エス・エス
現在、担当している仕事内容を詳しく教えてください。
現在担当している業務は、IT関連の独立行政法人にて、品質監査制度を作るプロジェクト内での文書類の英訳です。将来的に制度を国際標準に合ったものにするため、今の段階からヨーロッパやアメリカの関係機関と連携をとるために、各種文書を英訳して適宜開示していきます。その他、プロジェクトチーム内の研究員の方の調査にともなう資料やプレゼン資料の翻訳も行なっています。

日本語を英語に訳すだけでなく、英語を日本語に訳すこともあるので、そのような時には英語力だけでなく日本語の文章力も求められます。自分の訳す文章が、どのような場所で使われ、どのような人に読まれるのか、想像力を働かせながら訳さなければなりません。同じことを伝えるにもケースによって言葉の選び方が変わってくる、とても深いお仕事です。
このお仕事を選ばれた理由を教えてください。
以前勤めていた投資家向け情報誌を作成する企業で、翻訳チェックをしたことがこの翻訳のお仕事を選ぶきっかけになっています。英語がネイティブの翻訳者の英訳を初めて見た時、感動して体が震えたのを覚えています。翻訳チェックカーとしてプロの翻訳者の仕事に触れることができ、後に自分が翻訳の仕事をする上でとてもよい勉強になりました。

その後、IT関連企業で5年ほど翻訳業務に携わっています。主にアプリケーションの開発・導入やオペレーションの移行などのプロジェクトについて翻訳をしていました。たとえば、社内文書を英語から日本語に訳したり、システム開発の要件定義というシステムの大枠を決める工程でプロジェクトに入って文書を訳したり、ITコンサル会社で各種文書を訳したり。それぞれ一年半くらいの期間でしたが、派遣先やお客様の業界によっても使う用語が異なり、それぞれの職場で新しいことを学びました。翻訳のお仕事は、経験を積めば積むほど自信がつき、仕事が楽しくなります。
翻訳のお仕事のやりがいは、どんなところですか?
翻訳者は、お客様と直接お話しをする機会がなかなかないのですが、担当者の方から、「お客様が喜んでいらっしゃった」や「褒めていらっしゃった」などのフィードバックをいただけた時は嬉しいです。そのような時は、「次の仕事はもっと喜んでもらえるように頑張ろう」という気持ちを記憶に残し、高いパフォーマンスを維持できるように心がけています。

時間の制約など許容された範囲で、要求される以上、期待される以上のパフォーマンスを発揮する必要があります。訳文の精度とスピード、両方が求められます。文化的背景からくる日本語・英語の表現の違いなどについて、状況によっては翻訳者の私から提案し、派遣先やそのお客様の業界で慣例となっている表現はそれに従います。読み手が理解しやすい伝わる言葉を選んで翻訳に仕上げていく作業が、この仕事のやりがいだと思います。

業界や会社特有の表現・内容など、分からないことがあったらすぐに周りの人に確認をして、お互いの意思疎通をきちんと図ることができるようにしています。また、翻訳の仕事は、一日中同じ姿勢でパソコンに向かっているので、どうしても肩こりや目の疲れから頭痛になりやすいのです。ヨガやテニス、ハイキングなど、できるだけ楽しく体を動かして解消しています。
このお仕事に役立ったこれまでの経験やスキル、資格はありますか?
英検やTOEICなど、英語の資格試験は沢山あるかと思いますが、私が翻訳の仕事をする上で役に立ったと思うのは、通訳ガイド(通訳案内士)の試験勉強です。他のマークシート形式の試験とは異なり、通訳ガイドの試験は英語・日本語の読み書きの力が徹底的に問われます。翻訳の仕事をするには、知識のインプットと文章としてのアウトプットの訓練の、両方がかかせません。
このお仕事を通じて、新たに身に付いたスキルがあったら教えてください。
翻訳チェックの仕事をしていた頃から、リサーチの力が鍛えられ、自身で翻訳の仕事をするにつれ、必要な情報を迅速に探すことができるようになりました。以前は、翻訳の仕事をする上ではリーディングとライティングの能力が最も重要であると思っていましたが、正確な情報を短時間で見つけることが翻訳のクオリティに直結するということを、今は実感しています。業界で一般的に使われている言葉を使うなどして、読み手への心くばりを大切にしています。
このお仕事を目指す人にひとことをお願いします!
翻訳の仕事を目指している方には、私が経験したようにまずは翻訳チェックのお仕事からスタートすることをお薦めいたします。「お給料をいただきながらプロの翻訳を見て勉強ができるなんて、素晴らしい!」と思っていました。ただし、通常、翻訳チェックなどの編集系の仕事は勤務時間も長く、若いうちはいいのですが、将来的に家庭を持ったりすることを考えると何年もできるお仕事ではないかもしれません。そういう意味では、翻訳学校に通って経験・スキルを効率よく習得するという方法もあると思います。

現在、私は以前一緒にお仕事をしていた通訳者のみなさんから影響を受けて通訳学校に通っています。生活環境や仕事における業界などバックグラウンドはさまざまですが、同じ目標を持った心強い「クラスメイト」という仲間もできます。他のクラスメイトのみなさんと同様、私も仕事をしながら通学をしておりますが、大変な中でも楽しく勉強しながら、次のステップとして「通訳者としてデビューする」という目標を目指しております。
派遣会社に聞いた!翻訳
翻訳で多いお仕事の内容について教えてください。
特に根強い需要があるのは、金融・IT分野、その他メディカル分野も増えています。金融では、保険や銀行、監査法人などが多く、たとえば会計監査や財務の報告書、契約書、レポートなどの翻訳が多くあります。ITでは、自社製品を持つIT企業からの依頼と、さまざまなクライアントとの長短期プロジェクトを持つITサービス企業があり、要件定義書、仕様書、詳細設計書、マニュアル、プレゼンテーション資料などの翻訳が多いです。また、メディカルでは、症例・治験などがあり、海外本社向け文書なども翻訳しています。
その他、自動車メーカー、法律事務所、一般消費財、流通、食品などもあります。ゲームやソーシャルネットワーク分野の企業から、最近、仕事の依頼が続いています。日本で作られたゲームを海外向けにしたり、逆に海外のゲームなど日本向けにしたりとローカライズの仕事も増えています。また、言語についてはやはり英語が一番多いですが、アジア圏も増えてきていて、たとえば最近では中国語や韓国語、タイ語の翻訳の仕事もありました。
翻訳のお仕事の傾向について教えてください。
翻訳の需要は年々高まっています。幅広い業種から社内翻訳や翻訳が含まれる業務の依頼がありますが、最近特に、活発なビジネス展開で知られるインド系ITサービス会社から、さまざまな事業会社とのプロジェクトに対応いただける翻訳者の依頼が増加しています。
そこでは、もちろんIT分野での翻訳力が問われますが、さらに、プロジェクトの相手企業が、自動車メーカーや家電であったり、メディカルであったりすると、IT翻訳力に加えて、クライアント先が扱っている製品やサービスに関する知識や翻訳経験があると有利になります。
未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
翻訳経験がない人は、まず英文事務や部内アシスタント、秘書など、業務の一部分で簡単な翻訳が含まれる仕事を選び、経験を積んでいくと良いと思います。翻訳の実務経験や翻訳学校などを通して実力が伴ってくると、さらにステップアップし、翻訳量が多い仕事にチャレンジすることができます。英語の読み書きが多い仕事や翻訳チェッカーなどは、翻訳の仕事につながる経験になりますので、お薦めです。
また、特定の業界の就業経験で得られる専門知識は、翻訳に繋がる要素となりえます。例えば、システムエンジニアからIT翻訳者へ、また、金融業界での就業経験から金融翻訳者へといった事例もあります。翻訳の仕事は語学力がもちろん必須ですが、背景となる業界・専門知識を持っている方はより精度の高い訳文を作ることができると思います。
どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
翻訳の難易度によって、おおよその時間給が決まっています。そのため、経験が増え、さらに翻訳力が上がってくると、難易度が高く時間給の高い仕事に移るのが一般的です。また、就業中に貢献度が認められて、時給がアップしたり、社員への登用となるケースもあります。
仕事に応募するタイミングで、語学の資格が必須です。最近ではTOEIC900点以上を取得している人も多く、また、英検一級も取得していると職務経歴書としては、説得力が出てきます。
また、翻訳のトレーニングを受けていると、自己流ではなく、翻訳の基本がきちんと出来ていると捉えられます。最近では、翻訳支援ツールTrados使用経験を問われる仕事も増えています。金融分野ではUSCPA(米国公認会計士)やBATIC(国際会計検定)を取得している方、IT分野であれば、システム関連の資格を取得している人もいます。
翻訳力に加えて、英会話でのコミュニケーション力があり、さらに、通訳もある程度対応できる方もいらっしゃいます。上司や一緒に働く方が外国の方の場合、周りの人と英語でコミュニケートしなければなりません。このような力をお持ちであれば、翻訳者の付加価値になります。
このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
プロ意識を持って翻訳に取り組むことは大前提。求められる人材は、次の3つを満たしている方です。1つ目は、品質とスピードの両方を兼ね備えている方。2つ目は、チームワークを発揮して業務を進めていける方。社内翻訳者は、色々な人たちとの関わりの中で、翻訳業務を進めていきます。その中で、コミュニケーション力が問われます。そして3つ目は、様々なニーズに対応できる柔軟性です。ルーティンの翻訳もあれば、突発的に発生するケースもあります。概略だけわかれば良いという翻訳もあれば、社運を左右するような重要な局面での翻訳もあります。読み手が誰かによって訳すマナーも変わってきます。原文を深く理解し、文化の置き換えを図った上で正確に伝えなければなりません。さまざまなリクエストに柔軟に応えていくことも、社内翻訳者として大切です。
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