- 貿易事務で多いお仕事の内容について教えてください。
- 貿易事務のお仕事は、商社やメーカー、船舶会社や海運貨物取り扱い業者である乙仲などが派遣先となることがほとんどです。たとえば海外から資材を輸入して国内で生産し、海外に輸出をするというケース。メーカーは商社を通して資材を輸入し、物を作り、また商社を通して海外に輸出するという流れになります。その輸入・輸出の際に物流系企業が介入します。そのため、商社やメーカー、船舶会社や海運貨物取り扱い業者において、立場は少し異なるものの、貿易事務のお仕事があるのです。
商社やメーカーでの貿易事務の場合、受発注処理や価格・数量・納期の管理及び調整などを行なう海外デリバリー業務、メールや電話で海外と連絡を取るコレポン業務、輸出入に関わるドキュメント作成などが主な仕事内容になります。その他、その業務に付随する事務業務もあります。物流系企業での貿易事務の場合は、デリバリー業務とは少し異なり、船や航空機のブッキングなどの手配業務から輸出入に必要なドキュメント作成・データ入力、書類発送などがメインとなります。 - 貿易事務のお仕事の傾向について教えてください。
- 派遣先としては、商社やメーカー、商社およびメーカー内物流・運輸関連部署、物流系企業(フォワーダー)などが多くあります。2008年末のリーマンショック以降、一時期貿易事務のお仕事は減っておりましたが、2010年以降回復傾向にあり、2012年2月時点のグローバル企業の求人数は2010年と比較して約1.5倍に増えています。商社やメーカー、海運などを中心に、海外の物流拠点との調整や折衝業務も増えており、今後ますます貿易事務が担う役割は高まっています。
- 未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
- 貿易事務は英文書類の作成や確認が多く、正確性やスピード感が必要となる為、即戦力=経験者を求められる事が多いお仕事です。書類作成がメインの業務ですと、語学力は会話よりも読み書きのスキルが重要となります。
「ワーキングホリデーに行った事がある」・「留学経験がある」という方は沢山いらっしゃいますので、現在はそれだけでは語学を使うお仕事の強みにはなりません。未経験から貿易事務を目指すには、客観的な判断材料としてTOEICのスコアを条件として指定されているポジションも数多くあります。
また、貿易実務検定を取得することでも、未経験から就業するチャンスが高まります。実務経験をお持ちでなくても、積極的に勉強していて知識をお持ちであれば、就業のチャンスがあります。物流系の業務であれば、通関士資格も取得すると有利になるかと思います。
貿易事務の中でも、比較的未経験からチャレンジしやすいのが、輸入メインの貿易事務や物流会社での貿易事務。輸入がメインの貿易事務ですと、商材を受け入れる側なので手配がシンプルです。そのため、他方面と調整することが少なく、チャレンジしやすいですね。また、物流会社での貿易事務であれば、商社からの依頼を受けてドキュメントを作成したり、ブッキングをしたりすることがメインになります。こちらも多方面との調整が少なく、書類の処理などが多めなので、早くかつ正確に事務処理を行なえる方であればチャレンジしやすいと思います。 - どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
- 派遣先などにもよりますが、TOEICのスコアアップや英会話力がアップすると時給も上がるケースがあります。その理由としては、英語力がアップすれば、担当する業務の幅が広がり、任せられることが増えるためです。語学力はもちろんあったほうがよいですが、それよりも、英文メールのやり取りができるとか、短期留学などで英語で多くのコミュニケーションをとったことがあるとか、そういった経験のほうが任される業務の幅が広がるので、高時給のお仕事に就きやすいと思います。その他、貿易に関わる資格の取得なども同様の理由で、担当できる業務が増えるので、時給アップにつながります。
- このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
- デリバリー業務では、貿易に関する深い知識よりも、お客さまからのリクエストや問い合わせを正確かつ迅速に汲み取り、調整する能力が求められます。貿易事務は、同時並行で進めなければならない仕事が沢山あります。人とのやり取りも多いので、コミュニケーションスキルは欠かせません。
物流系業務では、貿易書類に関する知識が必要となります。ドキュメント作成にミスは許されないので、細かい作業が得意な方が良いですね。自分の作成したドキュメントに間違いがあった場合、多くの人が調整をしなおさなければなりませんし、時間的にも金額的にも損失が生まれてしまいます。そのため、正確かつ迅速に対応できる方が良いと思います。