- 通訳で多いお仕事の内容について教えてください。
- 通訳の仕事で多い内容を「フォーマリティ」と「専門性」という2面性から説明いたします。
まずは、フォーマリティーが高い通訳ですが、企業のトップレベルの方に付く、または対応する通訳が多いです。新聞などでも良く見かけますが、例えば、日本企業が、新たに海外から外国人の社長や会長を迎えるというケースです。経営の根幹を司る人が社運を左右する重要な会議やビジネスシーンでの通訳です。
次に、専門性の高い通訳とは、ビジネスの最先端での通訳です。金融、IT、メディカルなど、様々な業界の最先端の現場やプロジェクトでの通訳です。これには、専門分野の知識とその分野での豊富な通訳経験が必要とされます。 - 通訳のお仕事の傾向について教えてください。
- 長年に渡りクライアント企業からは、引き続き、コンスタントに通訳の需要があります。ここ数ヶ月は、経済環境の好転に伴なって、積極的なビジネス展開が戻ってきています。新しい商品の投入やサービスの展開、また、それに伴うIT投資など、今までターゲットにしてきた金融、IT、メディカル、メーカーでの通訳需要が継続・拡大しています。例えば、経営の刷新をにらんで、外国人社長を迎えた企業や、グループ企業の再編プロジェクトでの通訳対応などもありました。
最近の新しい動きとしては、日系企業の海外展開に伴う通訳ポジションが、さらに増加しています。国内で培ったビジネスのノウハウやサービスを新たに海外へ展開していく動きが加速しています。これは、商品・製品の販売だけではなく、人材サービスや金融サービスなども当てはまります。今は、どこの企業にも、ある程度の英語力の社員はいますが、本格的な海外ビジネス展開では、やはりプロの通訳者が必要となってきます。
また、2020年の東京オリンピックに向けて、確実に英語が必要な求人や通訳需要が増えていくと思います。すでに「本格的に、英語のスキルを身につけたい」「通訳を仕事で経験していきたい」という登録者の声もあります。派遣スタッフの中にも、2020年を目標に、キャリアづくりを意識している人が増えています。 - 未経験の方がこのお仕事に就くには、どのような方法がありますか?
- 通訳を目指す人も、最初は、コミュニケーションのツールとして、英語を使う仕事から始まるのが一般的です。さらに、アシスタント、アドミニストレーター、秘書などの職種で、英語を使う機会が増えてくると、通訳も経験できる機会が出てきます。通訳を少しでも経験出来れば、次は、さらに通訳割合が多い仕事へ移りやすくなります。
通訳の仕事に就くために必要なのは、3つの要素。通訳力、業界経験(から培った専門知識)、そして通訳経験です。通訳未経験の方は、この3つ目が欠けていることになります。その場合は、最初の2つを高めていくことで、通訳の仕事への可能性が広がります。実は、現場が必要としているレベルに達していない人が、通訳現場に入ってしまっているというケースがあるのも事実。この3項目がバランス良く整っているのが理想ですが、通訳力と専門知識の高さが、可能性を広げてくれます。
通訳力を証明するのは、一般的には、通訳スクールでの継続的な訓練です。また、背景知識は、その業界での業務経験又は、系統だった知識を証明する専門資格ということになります。 - どんなスキルがあると時給アップにつながりますか?
- 時給アップは、基本的には、その企業での就業期間中の通訳パフォーマンスに対する評価で判断されます。社内で発生するさまざまな通訳シーンで、どれだけ、周りの方達に納得できるパフォーマンスを提供できたかにかかっています。それが評価につながるのです。
ですから、「資格」=「時給アップ」ではありません。ただ、高いパフォーマンスの通訳者は、常に学ぶことに貪欲です。より高いレベルの語学資格の取得や、専門知識の理解度を示す資格の取得には余念がありません。
また、通訳の形式として、簡易通訳機材が使えるとか、同時通訳ブースでのマナーを心得ているなどは、活躍の場が広がるので、通訳者としてプラスの評価になります。 - このお仕事に求められるのは、どんな人材ですか?
- 「プロ意識の高い人」「チームワーク力がある人」「学び続ける人」ですね。プロ意識の高い人というのは、ビジネスの様々なシーンで、常に、質の高い通訳を提供できる人。常に結果を重視し、通訳を必要とする人たちに100%の満足度を提供できる人。通訳者は、文化的・言語的背景の異なる人たちの中に入り、コミュニケーションのプロの役割に徹している人です。その為に、プロの通訳者は、常に通訳力を磨き、知識の強化に努めています。
そして、「チームワーク力がある人」。通訳が必要な場面には、目的や立場、思惑が異なる人たちが関わっているケースがよくあります。その人たちが質の高いコミュニケーションを図る上で、通訳者が重要な役割を担っています。派遣の場合は、比較的長期的に組織の一員として、ビジネス展開の様々な場面で通訳をすることになります。派遣先では、チームの一員として、一体感をもって通訳業務を遂行していく事が必要です。
最後に「学び続ける人」。通訳が必要とされるビジネスが進行していくのと併行し、通訳者は、より効果的なコミュニケーションのあるべき姿を達成していく姿勢が大切です。アイデアが提案されたり、新メンバーが加わったり、新しい概念や言葉・表現が生まれる。変化し続けるビジネスシーンに対応するには、通訳者自身も学び続ける人である必要があります。表面的な理解だけでは、本当の通訳はできません。
通訳に“完璧”は存在しません。常に完璧に近づけようとする通訳者の姿勢が、企業活動の中でのコミュニケーションを高めます。また、そのような姿勢を通じて通訳者が信頼を獲得できるのです。